米ターゲット(後編)老舗小売店はどのようにしてデジタル化を進めたのか
(前回の続き)
「2020年にコロナ禍の脅威が訪れた時、我々はすでに準備ができていた」。
ブライアン・コーネルCEOは、2021年1月期通期の決算カンファレンスコールで誇らしげにこう語った。
通期売上高は前年比19.8%増の935.6億ドル。コロナを受けてECシフトが加速する中、全米に1900もの実店舗を抱える同社の売上高は過去最高を更新した。
背景にあるのが、この数年間推し進めてきた「オムニチャネル戦略」だ。ターゲットは、ネット通販の脅威が取り沙汰される中であえて「実店舗」を重視する方針をとってきた。
このことが、むしろEC専業には真似できない強みとなっている。具体的な施策はどのようなものなのか、転機となった「人事」とともに振り返りたい。
前編、中編でご紹介した通り、ターゲットの前身は1902年に創業した老舗デパートだ。元々デジタルに明るかったわけではない。