サム・ウォルトンの生涯②ウォルトン、航空機を操縦する
(前回のつづき)
1945年、アーカンソー州ニューポートに自分の店舗を持つことになったサム・ウォルトン。
JCペニーで1年半働いた経験はあったものの、実際の経営は素人でした。しかしだからこそ、彼が生涯のスキルとした「他店舗研究」が培われていきます。
最初のターゲットは、通りの向こうでジョン・ダナムという人物が経営していたスターリング・ストアでした。ウォルトンは常に競争相手の値段、ディスプレイ、売れ行きを観察し、自分の店を改善する方法を模索。
ベン・フランクリンのフランチャイズ店で経営をスタートしたのも、素人のウォルトンにとっては良いことでした。彼は「素晴らしいシステムで、店を経営するためのノウハウが効率的に組み立てられていた」と回想しています。
独自の会計システムやマニュアルがあり、決算書の使い方もそこで学びました。ウォルマート初期の5、6店でも、この方式を採用していたというほど。
最初は特にアイデアもないため、マニュアル通りにやっていましたが、すぐに「実験」を始めます。フランチャイズ店であるにも関わらず、独自の販促計画を立てて、メーカーから直接商品を仕入れ始めました。
本部を通さずに商品を仕入れようとするわけですから、普通は断られます。それでも稀に話がまとまることがあり、25%のマージンを払わずに安く卸すことができたのです。
サム・ウォルトンは、一日中店で働いてから閉店間際に店を出て、車を走らせました。ミシシッピ川をフェリーに乗り、テネシー州まで買い付けに行ったのです。
当然ながら、ベン・フランクリンの連中はカンカンになります。しかしウォルトンは気にせず、さらに遠くへと買い付け先を探しました。