バフェットが提唱する概念に「ルックスルー利益("Look-Through Earnings")」というものがある。よくわからないので、この言葉についてまとめておく。
まず、なぜ「ルックスルー利益」という概念が必要なのか?
それは、バークシャーのように多くの投資先を有する企業において、決算で報告される通常の「利益」だけでは会社の成長を測るのに十分ではないからである。
バークシャーにおける「利益」は基本的に(子会社の利益+)投資先から受け取る配当から算出され、投資先での内部留保は考慮されない。しかし、バークシャーのような企業において投資先で再投資される内部留保は事業の成長を測る重要な尺度であり、それを入れて考えるための概念が「ルックスルー利益」となる。日本語に訳すとすれば「(投資先の内部留保まで)見通した利益」という感じか。
「ルックスルー利益」を計算するには、次の3要素が必要で、①+②ー③と計算。
① 一般会計原則の下で報告される営業利益(バークシャーの場合、子会社の営業利益+投資先の配当)
② 投資先の内部留保のうち、バークシャーに帰属する割合(株式保有率によって算出)
③ ②の内部留保がバークシャーの利益として加算されたと仮定して払う税金
前述のように、この概念は多くの投資先を有する会社において適用できる。通常の事業会社や子会社のみを有する企業においては事業の成長度を決算報告から単純に読み解けばいいが、そうでない場合、投資先で再投資される利益によって事業が成長するならその方がいいんだから、それを考えないのはおかしいよね、という話。
http://www.berkshirehathaway.com/letters/1999htm.html
簡訳:
バークシャーにおいて報告される利益は経済的な進展度合を測るために不適切な指標だとしている、その一部の理由は、前述の表に示した数値は投資先から受け取った配当だけが含まれているからだ -- これらの配当は典型的に、我々の所有に属する利益のごく一部分だけを表現している。 このお金が欲しいわけではない、なぜなら投資先から分配されない利益は分配された部分よりも、我々にとってより価値のあるものだと考えているからだ。こう考える理由は単純だ:我々の投資先にはしばしば高いリターン率で利益を再投資するチャンスがある。だから、なぜ我々はそれを配分して欲しいのだ?
報告される利益以上に経済的な現実に近いものを表現するために、バークシャーでは「ルックスルー」利益という概念を採用している。これらを計算するには、 (1)前の項にあった報告される営業利益プラス(2)一般会計原則のもとで当社の利益に反映されていない主要な投資先企業の営業利益の当社持分マイナス(3)これらの投資先の内部留保がバークシャーに配分されるとしたら、 バークシャーが払う税金。ここで「営業利益」を集計する際には、購入会計の調整やキャピタルゲイン、その他の主要な非繰り返し項目は除外する。