「ウォール街」はどのように始まったのか(後編)
(前編のつづき)
1848年にゴールドラッシュが始まって以来、投資家たちはアメリカの鉄道株や、西部に開業した銀行の株を買い集めました。
開発が進むにつれ、西に向かって人口の大移動も起こり、それに続くようにして銀行も西に集まっていきました。西部に集まった小規模な銀行たちは、多くが独自の「銀行券」を大量に発行しました。
すると当然、通貨のインフレが起こります。はじめは好景気のムードが高まり、輸入の拡大やビルの建設ラッシュなどにつながりますが、実態はバブルでした。
1857年にこのバブルが崩壊すると、保険会社を中心に経済的な混乱が発生。この影響は、ニューヨークの保険会社にまでおよび、保険会社が銀行から現金を引き出そうとすると、銀行側も自衛手段を取り、ニューヨーク市では18の銀行が正貨の支払いを停止。
ニューヨークで働く労働者2万人が職を失いましたが、ウォール街の投機家たちの中には、多額の利益をあげるものもいました。
(ちなみに、ゴールドラッシュに訪れた人たちの多くはヨーロッパ系移民であり、ブドウ栽培やワイン醸造の知識を持っていた人も少なくなかったため、カリフォルニアはワインの名産地となりました)