今回とりあげるのは、現代の金融市場の中心である「ウォール街」の歴史です。
クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を「発見」したとされるのは1492年。以来、ヨーロッパでは「大航海時代」が到来し、アメリカ大陸もヨーロッパ諸国によって植民地化されました。
ヨーロッパ諸国の植民地としてのアメリカは、独立宣言が行われた1776年まで続きます。
「投資銀行」が生まれた背景には、ヨーロッパを中心とした激動の時代において、国家や企業の莫大な資金需要をささえた商人たちの存在がありました。
1609年、オランダ東インド会社に雇われていた冒険家、ヘンリー・ハドソンがマンハッタン島にたどり着きます。
5年後には、そこがオランダの領土「ニューネーデルラント」として宣言され、1626年には島の南端にオランダの植民拠点を建設して「ニューアムステルダム」と命名。
当時のオランダは金融の中心だったこともあり、マンハッタン南部には地方商人や貿易業者が集まっていきました。
そして1653年、ネイティブ・アメリカンや戦争相手のイギリスから、オランダ系の入植者たちを守るための「防護壁(ウォール)」が建設されます。
これにともなってマンハッタン南部の防護壁沿いは「ウォール街」と呼ばれるようになり、現在まで名前が残っているというわけです。
1664年にイギリス軍が侵攻してくると、オランダ総督のピーター・ストイフェサント(『ウォール』を作った張本人)は無抵抗で降伏を受け入れます。
さらに1667年、第二次英蘭戦争が終結した際にはニューアムステルダムがイギリスに割譲され、「ニューヨーク」という名前に変えられました。
ウォール街を中心とする「投資銀行」が生まれる少し前、ロンドンで活躍をはじめたのが「マーチャント・バンク」です。