【大手通信キャリア銘柄特集】新技術と社会インフラへの展開

楽天グループ

スマートフォンの普及が成熟期を迎える一方で、5Gやクラウド、IoTなど新たな技術潮流が通信業界に再び変革をもたらしています。

従来の音声通話・データ通信にとどまらず、モビリティ、金融、エネルギーといった隣接領域との融合が進み、通信キャリア各社は“社会インフラ企業”としての役割を拡大しつつあります。

こうしたなか、日本の大手通信キャリアはそれぞれ異なる特徴や戦略を持ち、競争と共創のバランスを取りながら市場で主要な役割を担っています。

本記事では、を理解する上で参考となる主要4社(NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天グループ)に焦点を当て、各社の技術・サービス、業界内での立ち位置を分析します。

信頼性と技術革新を兼ね備える通信基盤「日本電信電話株式会社(NTT)」

finboard

日本電信電話株式会社(NTT)は、全国規模の通信インフラを有する日本最大級の通信グループです。
固定・移動通信、システム開発、クラウドサービスまでを網羅し、公共性の高い通信事業を支えています。

同社は移動通信の中核を担うNTTドコモを傘下に持ち、全国8,000万件以上の契約を持ち、広範なユーザー基盤を有する主要な通信キャリアの一つです。
また、光回線「フレッツ光」や法人向けクラウドも展開し、多面的な通信サービスを展開している点が特徴です。

近年はIOWN構想(次世代光ネットワーク)など、光とAIを融合した技術開発への取り組みが見られます。
これにより、データ伝送の超高速・低遅延化を図り、国際標準化を通じた次世代通信技術の普及・発展への貢献を視野に入れています。

マルチブランド戦略で堅実成長「KDDI株式会社」

finboard

KDDI株式会社は、携帯通信ブランド「au」や低価格帯の「UQ mobile」「povo」を展開する国内大手の通信事業者です。
全国にネットワーク基盤を持ち、安定した通信品質の提供に努めているとされています。

同社の特徴は、通信に加え金融(au PAY、auじぶん銀行)や電力(auでんき)など多角的にサービスを展開している点です。

通信を核に、金融や電力といった生活に密着した様々なサービスを連携させ、顧客体験価値の向上を図る「ライフデザイン」戦略に取り組んでいます。

通信とネットの融合で挑戦を続ける「ソフトバンク株式会社」

finboard

ソフトバンク株式会社は、移動通信サービスやブロードバンドサービスを提供する通信事業を主軸に、LINEヤフー株式会社をはじめとするグループ会社との連携によるサービス展開を進める大手通信事業者です。
主力の「SoftBank」ブランドのほか、「Y!mobile」「LINEMO」といった多様な料金プランを展開しています。

同社の特徴の一つとして、インターネット企業的なスピード感と柔軟性があると考えられます。
過去に日本でいち早くiPhoneの提供を開始し、現在では通信サービスとキャッシュレス決済サービス「PayPay」をはじめとする様々なサービスとの連携を推進しています。

また、AIやIoTへの投資、仮想化基地局や衛星通信への対応など、次世代インフラへの取り組みも進めています。
若年層や都市部で一定の支持を得ており、デジタル時代における新たな通信サービスの提供を目指す企業の一つです。

>>ソフトバンクについてもっと詳しく数年後にAGI、十年以内には「超知性」誕生へ?孫正義氏の語るソフトバンクグループの未来ビジョン

技術革新と価格破壊で通信業界に挑む「楽天グループ株式会社」

finboard

楽天グループ株式会社は、Eコマースやフィンテックで培った基盤をもとに、携帯キャリア「楽天モバイル」として通信市場へ参入した新興勢力です。
クラウド技術を活用したネットワーク構築により、他社とは異なるアプローチで成長を図っています。

同社は従来の専用機器による通信網ではなく、ソフトウェアで制御する仮想化ネットワーク(オープンRAN)を導入。
これにより、運用コストの効率化を図り、これが料金戦略にも影響を与えていると考えられます。

また、楽天ポイントとの連携や、楽天市場・楽天カードなどとのクロスサービス展開により、独自の「楽天経済圏」を活用した顧客獲得にも取り組んでいます。

楽天モバイルはエリア展開を進めており、ネットワーク品質の向上に取り組んでいます。
同社はクラウドベースのネットワーク技術を活用し、今後の技術革新や事業成長に取り組む方針です。