事業内容
沿革・会社概要
Red Hat Inc.(レッドハット)は、オープンソース・ソフトウェア・ソリューションの世界的なリーディング・プロバイダー。1993年設立、1999年ニューヨーク証券取引所に株式を上場。オープンソースソフトウェアを開発・提供し、利用者に技術サポートを提供することで収益を得ている。扱っている主なソフトウェアには「Red Hat Enterprise Linux」「Red Hat JBoss Middleware」などがある。コミュニティの力を借りた開発アプローチを用いて、信頼性の高い高性能なオペレーティングシステム、仮想化、管理、ミドルウェア、クラウド、モバイル、ストレージを提供している。
2019年7月、IBMによる340億ドルでの買収が完了し、子会社となった。上場廃止後も、「Red Hat Enterprise Linux for SAP HANA」「Microsoft SQL Server on Red Hat Enterprise Linux」など、他社の製品との連携を引き続き重視して事業を展開している。パートナー各社との連携を継続することで、顧客企業がクラウド環境下で多様なシステムを稼働できるよう支援するサービスを提供している。
製品・サービス
Red Hatはクラウドサービスに力を入れて事業を展開しており、具体的には、コンテナ技術を活用したアプリケーションの開発環境などを提供する『Red Hat OpenShift』、ハイブリッドクラウド環境向けのIaaS(Infrastructure as a Service:情報システムの稼動に必要な仮想サーバをはじめとした機材やネットワークなどのインフラを、インターネット上のサービスとして提供するサービス)など、ITインフラ機能を幅広く提供する『Red Hat OpanStack Platform』の両プラットフォームなどがある。
他にも、クラウドアプリケーションの構築支援や、AI(人工知能)を活用した保守・運用の自動化サービスの強化も図られており、クラウド化が遅れている企業や、人員不足や担当者のスキル不足によって自動化への対応に苦慮している企業にサービスを提供している。
ビジネスモデル
Red Hatは、オープンソース・ソフトウェア開発を中心として事業を展開している。オープンソース・ソフトウェア開発モデルでは、ソフトウェアの開発、保守、強化のために協力している人々のグローバルコミュニティからの集合的なインプット、リソース、知識を利用することが可能だ。このモデルは、グローバルコミュニティからの情報や知識を統合して製品を開発することができるため、Red Hatにメリットをもたらす。
オープンソースライセンスモデル
Red Hatのオープンソースライセンスモデルでは、ソフトウェア開発者は、GNU General Public License (GPL)、GNU Lesser General Public License、Apache Licenseなどのオープンソースライセンスの下でソフトウェアを配布しており、オープンソースライセンスは、ソフトウェアの受領者がソフトウェアを使用、複製、変更、再配布するための比較的広範な権利を提供する。このような権利は、グローバルコミュニティの人々がソフトウェアを検査したり、変更を提案したり、カスタマイズしたり、機能を強化したりするための大きな自由度を与えるものだ。
Red Hatは、オープンソースの開発コミュニティと協力して製品を開発しており、多くの場合、コミュニティ内におけるリーダー的な役割を担っている。Red Hat は、CentOS プロジェクト、Ceph コミュニティプロジェクト、Fedora プロジェクト、GlusterFS、JBoss コミュニティプロジェクト、OpenShift Origin など、多くのオープンソースプロジェクトのスポンサーを務めており、Apache Camel、Kubernetes、Linuxカーネル、Open Container Initiative、OpenDaylight Project、Open Platform for NFV、OpenStackなど、その他のオープンソースプロジェクトでも積極的な貢献を行っている。
サブスクリプション
Red Hatが提供しているソフトウェアは、オープンソースのソフトウェア(利用者の目的を問わずソースコードを使用、調査、再利用、修正、拡張、再配布が可能なソフトウェア)となっているので、ソフトウェアライセンス料は原則として無料であり、ソフトウェアのアップデート・アップグレード・保守サポートなどを一体化してサブスクリプションプランを提供することで収益を稼ぐ事業モデルとなっている。ソフトウェアのソースコードが公開されており、ライセンスが許可されているため、開発者は自身の目的に合わせてソフトウェアを強化することができる。
Red Hatは、主に年間または複数年のサブスクリプション、および CCSP(認定クラウド&サービスプロバイダープログラム: クラウドサービスを安全に利用・運用するために必要な知識やスキルを資格として提供するサービス)を通じて、オンデマンドで顧客にソフトウェアを提供している。
Red Hatのサブスクリプションのビジネスモデルは、サブスクリプションの期間中、顧客に包括的な技術ソリューションを提供するものだ。一般的にサブスクリプションは、顧客に指定されたレベルのサポート、セキュリティ更新、修正、機能強化、テクノロジーのアップグレード、利用可能な場合にはそれぞれのテクノロジーのアップグレード、認定されたハードウェアおよびソフトウェアのエコシステムとの互換性などを提供するものであるが、Red Hatのサブスクリプションには、これらに加えて、ナレッジベース、製品の使用方法に関する文書、アカウント管理ツールなどのサービスを提供する『Red Hat Customer Portal』へのアクセスも含まれている。