食卓を支える冷凍食品銘柄6選:ニチレイや味の素など各社の強みとは

私たちの食生活に深く浸透している冷凍食品。その市場は、ライフスタイルの変化や技術革新を背景に、簡便性や時短調理へのニーズの高まりとともに進化を続けています。
各社は、長年培ってきた冷凍技術や品質管理ノウハウを基盤に、原料調達から製造、販売に至る一貫したバリューチェーンを構築。水産物の調達力、独自製法による麺類の高い技術力、あるいは革新的なパッケージ技術による利便性の追求など、それぞれが持つ得意分野を磨き上げています。
また、広く認知されたブランド力を背景に、おいしさはもちろんのこと、健康価値を付加した製品開発にも注力。グローバルな視点での事業展開も進めており、国内外の多様な食文化やニーズに対応する製品を供給しています。
本記事では、独自の強みを持つ複数の主要企業に焦点を当て、各社がどのように市場の期待に応え、私たちの食卓を豊かにしているのかを探ります。
株式会社ニチレイは、1942年に設立された、食品と物流を核とする企業グループです 。
主力の加工食品事業では、家庭用・業務用の冷凍食品や農産加工品などを幅広く手掛けており、同社の『本格炒め炒飯®』は年間売上高がギネス記録に認定されるほどの人気です。
国内のみならず、北米やアジアにも製造・販売拠点を持ち 、グローバルに事業を展開している点が特徴です。
同社は、原料調達から製造、そして独自の低温物流ネットワークを駆使した品質管理と流通まで、一貫したバリューチェーンを構築しています 。これが、ニチレイグループの競争優位性の源泉と考えられます。
長年培ってきた冷凍技術や品質管理ノウハウは、安全・安心でおいしい食品を安定的に供給する基盤となっています。
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冷凍食品市場は、ライフスタイルの変化や技術革新により、海外市場ではニーズの拡大が見込まれる一方、国内市場では人口減少に伴う総需要の縮小が懸念されるなど、地域によって異なる状況です。
ニチレイは、研究開発への投資やサステナビリティへの取り組みを通じ、新たな価値を持つ商品やサービスの開発、および環境負荷低減の取り組みを進めています。気候変動によるリスクなどの課題に直面しつつも、同社は業界内での事業基盤や技術力、グローバルな事業展開を通じて、市場の変化への対応を図っています。
マルハニチロ株式会社は、水産事業を基盤としながら、冷凍食品を含む食品事業をグローバルに展開する総合食品企業です。
冷凍食品事業においては、原料調達から製造、販売に至る一貫した生産体制と、長年培ってきた水産物の調達力、そして高い商品開発力と技術力が大きな強みとなっています。
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水産加工品から麺類、中華惣菜、冷凍野菜まで多岐にわたる冷凍食品を取り扱っていますが、中でも近年注目を集めるのが「WILDish」シリーズです。
袋ごと電子レンジで調理可能で、そのまま食器として使用できるという画期的なパッケージ技術は、特許出願中であり、現代のライフスタイルにおける簡便調理や個食といったニーズに的確に応えるものと言えるでしょう。
マルハニチロは、家庭用から業務用まで幅広いニーズに対応できる製品開発力で、付加価値の高い冷凍食品を市場に提供し続けています。同社は変化する市場のニーズを捉え、製品開発を進めることで、冷凍食品業界での事業展開を図っています。
味の素株式会社は、調味料や食品、冷凍食品、さらにアミノサイエンスを基盤としたヘルスケア事業などをグローバルに展開する企業です。
中でも冷凍食品事業は、同社の事業における重要な柱の一つとして位置付けられています。長年培ってきた「味の素」ブランドへの信頼は、冷凍食品カテゴリーにおいても強みとなっています。
同社の冷凍食品事業の代表格である「ギョーザ」は、油・水なしで誰でも簡単にパリッとした羽根つき餃子が調理できる独自技術が特徴です。この革新性と美味しさにより、日本の家庭用冷凍ギョーザ市場で長期間にわたり高いシェアを獲得しています。
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他にも、本格的な味わいが人気の「ザ★」シリーズや、お弁当作りの負担を軽減する「おにぎり丸」など、多様なヒット商品を生み出しています。
味の素の強みは、おいしさを追求する製品開発力と、それを実現する独自技術、そして卓越したブランド力とマーケティング力にあります。
また、健康志向の高まりに応じ、栄養バランスに配慮した製品や減塩・低カロリー製品の開発にも注力しています。「おいしさ」と「健康価値」を両立させた高付加価値製品の開発を進めることで、多様化する消費者のニーズに応え、冷凍食品市場における一定の地位を築いています。
ニッスイは、水産事業、食品事業、ファインケミカル事業、物流事業などを多角的に展開しています。
食品事業で中核を成すのが冷凍食品であり、国内外のグループ企業との連携によるバリューチェーンを最大限に活用。
「大きな大きな焼きおにぎり」や「わが家の麺自慢 ちゃんぽん」といった人気製品に加え、自然解凍可能な弁当用おかず、さらには1歳6ヶ月からの冷凍幼児食「ニコパク」シリーズなど、消費者の多様なニーズに応える製品ラインナップを誇ります。
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さらに健康志向の高まりにも着目し、独自のEPA(エイコサペンタエン酸)の機能性を活かした食品や、「速筋タンパク」といった健康価値を訴求する製品開発にも注力しています。
冷凍焼きおにぎり類は世界売上No.1としてギネス世界記録に認定されるなど高い競争力を示しています。また、米国のグループ会社(ゴートンズ社)は、家庭用水産調理冷凍食品カテゴリーにおいてリーダーシップを発揮するなど、国内外で高い競争力を示しています。
世界各地の食文化に合わせた製品開発と販売を行うグローバル展開も同社の強みと言えるでしょう。
東洋水産は、「マルちゃん」ブランドで広く知られる即席麺事業や、冷凍食品を含む低温食品事業、水産食品事業などを展開する食品メーカーです。
同社の冷凍食品では、「マルちゃん焼そば」などマルちゃんブランドを冠した麺類や、「ライスバーガー」なども同ブランドで展開しています
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また、低温食品事業において、冷凍麺ならではの本格感と品質が追求されています。東洋水産は麺の食感にもこだわりを持って開発を進めており、冷凍めん市場全体では「味のよさ」や「品質」が消費者の重要な購入理由のひとつだと考えられます。
家庭用市場を重要なターゲットの一つとし、手軽でありながら本格的な味わいを求める消費者のニーズに応えることで、「マルちゃん」ブランドが持つ「安心感」と「美味しさへの期待」を冷凍食品においても提供しています。
>『赤いきつね』動画で物議の東洋水産、実は米国・メキシコでシェア一位のグローバル企業だった件
日本たばこ産業株式会社(JT)の食品事業を担う中核企業として、「テーブルマーク」ブランドのもと、日本の食卓に多彩な冷凍食品を提供しています。
代名詞とも言えるのが高品質な冷凍麺類です。中でも「さぬきうどん」は、そのコシの強さと風味の良さで長年にわたり消費者の高い支持を獲得しており、冷凍うどん市場においてトップクラスのシェアを誇ります。
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この背景には、独自の製法により、冷凍しても麺本来の食感や風味を損なわないという卓越した技術力があります。
冷凍麺以外では、独自の技術を活かした冷凍パンや、「ごっつ旨い®」シリーズとして人気の冷凍お好み焼き・たこ焼きなども重要な製品群です。これらは本格的な味わいが家庭で手軽に楽しめると評価されています。
テーブルマークは、冷凍麺という得意分野における技術的優位性を活かし、日本の冷凍食品市場で独自のポジションを築いています。