ピンクの看板と配達車でおなじみの存在であり、全国に配達するネットワークを持ちながら、23区内ならビール1本から無料で自社配送する「なんでも酒や カクヤス」。
この「カクヤス」を運営するカクヤスグループ(以下、カクヤス)は、1921年に創業し、昨年100周年を迎えた老舗企業だ。とはいえ、東証二部に上場したのは2019年12月と、つい最近のことである。
酒類販売の市場が縮小する中でも、2011年以降、売上高1,000億円台をキープし、順風満帆だった同社だが、コロナ禍による飲食店からの需要減により、2021年3月期通期決算で売上高は802億円に落ち込み、26億円の営業赤字に転落。株価は、緊急事態宣言や酒類の自粛と連動する形で上下している。
しかし、強烈な向かい風の中でも、カクヤスはアフターコロナに向けて、打つべき手を着実に打ち続けている。その一つが、これまで本業としていた業務用販売から家庭向け販売に舵を切り、卸売業から小売業へと転換していることだ。
「カクヤスは物流で差別化してきた」と語るカクヤスグループ社長の佐藤順一氏に、逆境での成長戦略を聞いた。