家庭用ゲーム関連銘柄4選!IPとプラットフォーム展開から見る成長と課題

セガサミーホールディングス

「家庭用ゲーム」市場は、クラウド技術の進展、AIの戦略的活用、そしてIP(知的財産)を中心としたエコシステムのグローバルな拡大など、かつてない変革の時代を迎えています。

プラットフォームホルダーや有力なコンテンツクリエイター間の競争は日々その激しさを増し、サブスクリプションモデルをはじめとする新たなビジネスモデルも急速に普及しつつあります。このような業界全体の大きなうねりは、関連する企業群の事業戦略にも絶え間ない革新を求めています。

今回は、このような変化の激しい家庭用ゲーム業界において、各企業がどのような戦略で臨んでいるのか、その一端を分析します。独自のコンテンツ開発、グローバルなプラットフォーム戦略、M&Aによる開発力強化といった成長への取り組みに加え、市場競争や技術革新に伴う事業リスク、消費者ニーズへの対応といった課題についても考察します。

PlayStation®プラットフォームを核とする「ソニーグループ株式会社」

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1946年設立のソニーグループ株式会社は、多様な事業ポートフォリオを持つグローバル企業です。その中でも、ゲーム&ネットワークサービス分野は重要な柱の一つと位置づけられています。そしてこの事業は、家庭用ゲーム機であるPlayStation®プラットフォームを中心に展開されています。

ソニーのゲーム事業は、世界中の強固なユーザー基盤を有しており、魅力的なゲームIPの活用とネットワークサービスが重要な要素です。
デジタルコンテンツ提供やサブスクリプションサービスが収益の核であり、自社制作ゲーム強化やPC向け展開など、ゲーム体験の多様化を進めています。
同社は、PlayStation®の強力なゲームIPを他エンタテインメント領域で活用する戦略を進めることで、グループ全体のシナジー効果や新たな収益機会の創出を目指しています。

また、開発力強化に向けた投資や買収も実施しています。
技術面では、AIのゲーム応用、トラッキング、デジタルツインといった仮想空間関連技術開発も進められており、将来のゲーム体験深化に貢献することが期待されます。
Epic Gamesとの協業によるリアルタイム3D制作ツール活用も探求しているようです。

一方事業運営上のリスクとして、市場変化、新製品の不確実な需要、部品供給不足、為替変動などが考えられます。
また、特定の技術ライセンスなど第三者への依存や、戦略的な連携におけるリスクも存在します。
ソニーはこれらのリスクに対応するため、リスクマネジメント体制の整備や内部統制の強化を図っています。

>>ソニーグループについてもっと詳しくソニーグループの経営方針から考えるエンターテインメントの未来

多角的なプラットフォームとコンテンツを展開「Microsoft Corporation」

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1975年に設立されたMicrosoft Corporationは、デジタル技術とAIを活用し、個人と組織の可能性を最大化することをミッションとするグローバルテクノロジー企業です。
クラウド、ソフトウェア、デバイスなど多岐にわたる事業を展開しており、ゲーミング事業もその重要な柱の一つを担っています。

ゲーム市場において、同社はPC、コンソール、モバイル、クラウドと幅広いプラットフォームに対応しています。
Xboxハードウェアだけでなく、Xbox Game PassというサブスクリプションサービスやXbox Cloud Gamingによるクラウド技術を提供し、多様なユーザー層へのリーチを可能にしています。

2023年に完了したActivision Blizzardの買収は、同社のゲーム事業における重要な戦略の一つです。
この大型取引により、「Call of Duty」や「World of Warcraft」といった多数の人気ゲームタイトルが同社のコンテンツポートフォリオに加わりました。
この買収は、同社のゲーム事業のコンテンツ基盤を拡充し、直近会計年度におけるゲーミング事業の収益に影響を与えています。

一方、事業運営上のリスクも存在します。サービスを支えるクラウドインフラへの継続的な投資はコスト増加を招く可能性があります。
また、ゲームハードウェアの製造においては、特定の部品供給元への依存が存在し、供給の混乱が製品製造に影響を与える可能性も考慮すべき点です。

>>Microsoftについてもっと詳しくマイクロソフト2025年1~3月期決算:各事業で生成AIの活用を徹底、好業績を継続

ハードとソフトの一体化で独自の娯楽体験を追求「任天堂株式会社」

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任天堂株式会社は、1947年にかるた・トランプ類の製造・販売会社として京都市に設立されました。
現在は京都に本店を置き、ホームエンターテインメント製品を主に手掛けています。主要な事業はゲーム専用機(ハードウェア・ソフトウェア)の開発、製造、販売であり、トランプなども手掛けています。
グループ全体で開発から国内外への販売までを一貫して担う体制を構築しています。

「娯楽を通じて人々を笑顔にする」という企業理念のもと、独自の遊びを提供することを目指し、ハードウェアとソフトウェアが一体となったゲーム専用機ビジネスを事業の中核に置いています。
そして、世界中のすべての人々に向けた独創的な商品やサービスの提案を続けています。

同社は、持続的な成長のための基本戦略として、「任天堂IPに触れる人口の拡大」を掲げています。
この戦略に基づき、ゲーム専用機という枠を超え、モバイルアプリ、オンラインサービスなど様々な分野で顧客と任天堂IPとの接点を広げ、より多くの顧客との長期的な関係構築を図っています。

しかしながら、事業運営には市場環境、技術進歩、顧客の嗜好変化といった外部要因や、競争の激化といった潜在的なリスクが存在します。
また、製品のライフサイクルが比較的短く、新製品開発に伴う不確実性も無視できません。
棚卸資産の評価も将来の販売計画に依存するため、不確実性を含みます。
加えて、サプライチェーンの状況もハードウェアの生産に影響を与える可能性があります。

コンシューマ集中とIP価値最大化で目指す成長「セガサミーホールディングス株式会社」

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セガサミーホールディングス株式会社は、エンタテインメントコンテンツ事業を展開しており、その事業内容にはフルゲームやF2Pなどのコンシューマゲームの開発・販売が含まれています。
同社は、このコンシューマ分野を当グループの成長分野として位置づけています。

エンタテインメントコンテンツ事業における戦略として、既存IPの世界同時発売を通じてタッチポイントを拡大し、収益機会の最大化を図っています。
また、リメイク/リマスターの活用やサブスクリプションサービスへの対応により、プロダクトライフサイクルの長期化を目指しており、メディアミックス強化等でユーザーエンゲージメントを高めIPの価値向上を図る方針です。
市場成長が見込まれるゲーミング領域への投資実現を目指しており、コンシューマ分野へ経営資源を集中させています。

主要なプラットフォーム事業者とのライセンス契約も結んでおり、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(PlayStation®)、任天堂(Nintendo Switch)、Microsoft(XboxOne、PCゲームサポート) 向けの対応ソフトの開発・販売を行っています。

一方で、この事業にはリスクも存在します。
特にコンシューマ分野においては、高クオリティや有力IPを使用した競合タイトルの出現による競争激化が挙げられます。
また、ゲーム配信プラットフォームの多様化やコンテンツ・サービスのデジタル化による市場環境の変化も経営課題として認識されています。
商戦時期に新商品を投入できない場合の家庭用ゲームソフト等の余剰在庫発生リスクも伴います。