ゲノム編集「CRISPR」活用の東大発ベンチャー「モダリス」マザーズ上場へ
モダリス

ゲノム編集技術「CRISPR」を活用した新薬開発を行う「モダリス」が東証マザーズへの新規上場を承認されました。

2016年1月に設立された東京大学発のベンチャー企業です。

足元の業績をみると、2019年12月期の事業収益が6.5億円。前年比9.9倍に急拡大しています。営業利益も1.6億円となり、黒字化しました。

一方で2020年1Qについては、事業収益0.1億円、営業損益は1.2億円のマイナスという結果に。後述しますが、新薬の開発進捗に応じて事業収益を獲得するビジネスモデルのため、やや収益に波がある状況となっています。

上場申請書の内容を元に、どんな会社なのかを紐解いていきましょう。

95%に治療法がない疾患のロングテール

モダリスの創業者は、現在も代表取締役CEOを務める森田 晴彦氏。

森田氏は1969年生まれで、東大工学部卒業、同大学院を修了。彼は、バイオテック領域のシリアルアントレプレナー。

1994年にキリンビール(現 協和キリン)に入社すると、バイオ医薬品などの研究開発に従事していました。

2002年にはコンサルティングファーム「ブーズ・アンド・ハミルトン(現 PwC Strategy &)」に転職。その後は複数のバイオテック企業の設立に携わり、2016年1月に設立したのがエディジーン(現 モダリス)です。

モダリスが開発を進めている創薬は、全て「遺伝子疾患」が対象。遺伝子疾患は約1万種類ありますが、そのうち約7,000種類は患者の数が少ない希少疾患です。

従来型の創薬開発手法は開発コストと開発期間が膨大にかかるため、創薬ターゲットとなるのは患者数の多い疾患ばかりで、希少疾患の95%にはまだ治療薬がありません。

その一方で、細分化されている希少疾患の患者数は世界で4億人にのぼると言われ、拡大する余地の大きい未解決市場となっています。

こうした課題を解決するために注目を集めているのが遺伝子治療、中でも「CRISPR」と呼ばれるゲノム編集技術です。

遺伝子切断ではなく「オンオフ」の制御に特化

モダリスによれば、CRISPRとは「異常型配列を持ったDNAを切り出し、 正常型配列と置き換え、本来あるべき配列に戻す治療」。

CRISPRは(これもモダリス曰く)「RNAi」「iPS」などのノーベル賞受賞技術を上回る注目を受けているそう。ソースはGoogleトレンドのようですが、実際に見てみるとiPSの方が上でした。

重要なのは、この技術を使って効率よく装薬開発を進めることにより、前述した希少疾患(疾患のロングテール)にアプローチしていくこと。

モダリスはこのために、独自の創薬プラットフォームシステム「CRISPR-GNDM」を開発。これにより、通常のゲノム編集治療よりも効率よく創薬開発を進め、さらに治療リスクを抑えることが可能に。

有価証券届出書によれば、この技術にはいくつかの特徴があります。

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