アメリカに、シャーウィン・ウィリアムズというペンキ塗りの上場企業がある。
「ペンキ塗り屋さん」というといかにもアットホームな感じを抱いてしまうが、右肩上がりの成長を続け、売上高は1兆円を超えている。
どうしてペンキを塗るだけでこれだけの巨大事業に育つのだろうか。調べてみると、シャーウィン・ウィリアムズは1866年創業で150年以上の歴史があるらしい。何もないアメリカで塗料の製造販売からスタートし、長い年月をかけて大きくなってきたようだ。
まずはセグメント業績を見てみよう。
売上高118億ドルのうち、およそ78億ドルが「Paint stores group」、27億ドルが「Consumer group」からの売上である。この2つでほとんどと言っていい。
Paint stores group
このセグメントでは、米国、カナダ、ヴァージン諸島、グレナダ、トリニダード・トバゴ、ジャマイカなどに4180の店舗をもち、各種ペイントサービスや製品を販売するほか、「Sherwin-Williams®」ブランドとして建築物の塗装や、橋梁などでの保護・防水塗装、OEMによる製品の仕上げなども行う。
販売する塗料などの製品はConsumer groupで製造される。
航空機や自動車などの塗装も行なっているようだが、それはここには含まれないっぽい。
Consumer Group
これはその名の通り、消費者向け製品の製造販売を行う部門。Consumer groupの売上のうち64%はPaint stores groupを経由して販売される。
そのほかにもいくつかセグメントがあるが、売上としてはかなり小さいのでスルー。
要するに、シャーウィン・ウィリアムズの売上はほとんどが「塗装製品の販売」と、「店舗を経由した塗装サービスの提供」だけで100億ドルを超えていることがわかった。
正直、航空機や自動車などの産業向け塗装サービスで大きな産業になっているかと思ったのだが、どうやらそういうわけではないらしい。普通にアメリカや周辺の国々において、「塗装」という産業の規模が日本人が想定するよりも大きいのかもしれない。
ということで、産業全体に関する資料を見てみる。
2015年の塗装産業の市場規模は、90億ガロンで1326億ドル。ガロンはよくわからないが、日本円で13兆円以上だから、かなりの規模である。しかも、YoYで4%成長しているということ。その内訳は、「建築の塗装」が38%、「OEM塗装」が38%。
産業全体でのシェア。シャーウィン・ウィリアムズはトップ企業ではないらしい。上には「PPG」「Akzo Nobel」という2社が君臨。下の方をみると、「Nippon」「Kansai」の文字が。これはどこだろう。。
米国での塗装産業の規模は278億ドル。そのうち44%が建築塗装と、割合が高くなっている。
内訳として「自分でやる」人たちが41%、サービスとして契約するのが59%。契約してやるタイプが年々増加している。
米国の建築塗装マーケット。
DIYが41%と最も大きい。3億ガロン。
続いて、住居の塗り直しが27%(2億ガロン)。
先ほどの市場全体のガロンVS米ドル比を当ててみると、1億ガロンあたりおよそ15億ドルとなる。つまり、建築塗装マーケット全体の7.5億ガロンはだいたい100億ドルの規模。
まとめると、塗装マーケットの規模は
・世界全体で1326億ドル
・そのうち米国は278億ドル
・米国のうち、建築塗装は100億ドルほど(推計)
これらのうち、シャーウィン・ウィリアムズは118億ドルを取っているということだろう。
結論として、シャーウィン・ウィリアムズが伸びている理由は「1326億ドルという巨大な塗装市場が、今も年間4%で伸びているから」と言える。
だけど正直、いまいちピンとこない。そもそもなんで塗装市場自体が伸びているんだ。今度またもう少し調べてみよう。。