現時点で、日本国内のインターネット企業御三家と言えば、ヤフー、楽天、サイバーエージェントの3社と言っても過言ではないと思います。
3社ともネットバブルの前に創業し、長い年月にわたって成長を続けています。
現在は複数事業を数多くもつ総合インターネット企業となり、売上高でトップスリーに君臨しています。
ゲームや医療など、特定領域のネット企業として大きな会社は他にもありますが、ECとメディアというインターネットの根幹ともいえる領域ではこの3社が圧倒的な存在感を示していると思います。
ということで、今回はこの3社を比較します。
まずは、3社の設立日を書いておきます。
ヤフー | 1996年1月31日 |
楽天 | 1997年2月7日 |
サイバーエージェント | 1998年3月18日 |
売上はヤフーがずっと圧倒的に好調だったイメージがありましたが、実際には2009年(度)から2015年(度)までは楽天の方が売上が大きかったことがわかります。
ポータルとEコマースというインターネットの土台を握った2社の方がより早く成長しています。
次に、営業利益の比較です。
営業利益だと、ヤフーが一貫してダントツで大きいですね。楽天も2014年には1000億円を超える営業利益を出しています。
次に、営業利益率です。
2つ目のグラフから当然ではありますが、営業利益率でもヤフーが突出しています。ただ、近年はかなり減少傾向にあります。
それでも営業利益率20%は超えています。
次に、売上成長率です。3社ともずっと右肩上がりに成長していますが、比べてみるとどうでしょうか。
楽天の初期の成長率が突出しています。
楽天は2002年の売上高99億円から、2006年には2032億円へと急激な成長をしています。4年で20倍くらい。。
オンラインショッピングという分野がこの期間に一気に拡大したのだということが想像できます。
次に、売上原価率です。楽天は2013年より全てのコストを営業費用として合算するため売上原価の記載がなく、ここではゼロになっています。
サイバーエージェントの売上原価が60%前後で推移しているのに対し、ヤフーと楽天はそれぞれ10%、20%前後とかなり低い水準で推移しています。
ただ、ヤフーは2013年ごろから急激に上昇していますね。
次に、販管費が売上に対して占める割合の比較です。楽天の場合、2013年から全ての費用を営業費用として合算しているため、ここに含めています。
楽天の販管費率が概ね60%を超えており、他の2社と比べると高くなっています。サイバーエージェントはヤフーと比べて低い水準になっています。2社とも販管費の割合は売上に対して減少傾向です。
ここからは財務状況やFCF(フリー・キャッシュフロー)の動向について踏み込んでみます。最後には、FCF倍率(時価総額の過去5年間の平均FCFに対する比率)も比ベてみます。
まずは、資産全体に占める自己資本の割合を示す自己資本比率です。
楽天は2003年から自己資本比率が急降下し、以来20%以下の水準で推移しています。
一方のヤフーとサイバーエージェントは高いですね。サイバーエージェントは2012年まで保有していたFX事業で顧客証拠金を預かっていたため、自己資本比率が低下していました。
次に、企業の累積利益額を示す指標である利益剰余金です。
ヤフーの利益剰余金が圧倒的で、8000億円を超えています。
楽天は2009年まで利益剰余金がマイナスだったというのは少し意外です。
次に、現預金です。
ヤフーと楽天は共に、5400億円を超えるキャッシュを持っています。かなり潤沢ですね。。
有形固定資産は、ヤフーが2015年に1200億円に達していますが、これは2015年にアスクルを子会社したためです。
FCFの比較です。これはざっくりと営業キャッシュフローから有形固定資産支出と無形固定資産支出を引くことで算出しています。
楽天のFCFは度々マイナスになっていること、ヤフーが圧倒的に大きなFCFを稼ぎ出していることがわかります。2006年からずっと500億円を超えています。
最後にFCF倍率をみます。これは僕が考えた指標で、企業の時価総額を、過去5年間に稼ぎ出したフリー・キャッシュフローの平均で割ります。
こうすることで、その企業を仮に買収したとして、そのままの規模だったら何年で回収できるかをよりキャッシュベースで把握できます。
ヤフーが32倍、楽天が222倍、サイバーエージェントが63倍という結果になりました。
どれもなかなか割高感がありますね。。