オハイオ州の牛乳屋さんが発祥!熾烈なコンビニ競争の中で成長を続ける「ローソン」の事業数値等まとめ
ローソン

今回は、大手コンビニチェーンの一角「ローソン」についてまとめてみたいと思います。

1939年に米国・オハイオ州でJ.J.ローソン氏が営んでいた牛乳販売店が発祥。

日本では1975年に大阪で一号店がスタートし、2000年に三菱商事と提携。

2017年には株式の公開買い付けにより三菱商事が議決権の過半数を取得を完了。三菱グループの連結子会社となりました。


2000年以降の業績推移を見ると、2004年までは低迷していたものの、その後再び拡大軌道に入ったことが分かります。

(注:上グラフの売上高に相当するのは「営業総収入」)

今回のエントリでは、ローソンの創業からの経緯を整理した上で、近年の拡大について事業数値とともにまとめてみたいと思います。


ローソンの創業からの歴史

冒頭で述べたように、ローソンは1939年に米国オハイオ州で開始した牛乳販売店がルーツです。


牛乳販売店としての始まりと、コンビニ化

この店は、「ローソンの牛乳屋さん」として人気となり、その後「ローソンミルク」社を設立。

やがて生活必需品も販売するようになり、アメリカの北東部を中心にチェーン展開を行います。


1959年、アメリカの食品業界大手「コンソリデーテッド・フーズ」がローソンミルク社を買収。オハイオ州を中心に店舗展開を進めつつ、「コンビニ」の店舗システムを確立していきます。

現在、アメリカに「ローソン」という店舗は存在しないとのこと。

日本での始まり

1974年になると、当時日本の小売産業で勢いのあった「ダイエー」が、コンソリデーテッド・フーズ社とコンサルティング契約を締結。

ローソンミルク社のノウハウを元に独自のフランチャイズシステムを確立し、1975年6月「ローソン」1号店を大阪の南桜塚でスタート。

当初はアメリカ風の店舗がウリで、パーティフーズを中心に品揃えしており、現在とは大きく異なる様子だったようです。(社名は「ダイエーローソン」)

1979年には早くも「ローソン」100店舗に達するなど、全国的な積極展開を進めます。


1989年にはかつて存在したコンビニ「サンチェーン」と合併し、「(株)ダイエーコンビニエンスシステムズ」が誕生。

1994年には5000店舗を展開するまでに成長し、1996年には(株)ローソンに社名を変更。

1998年にはチェーン売上高1兆円に達し、マルチメディア端末「Loppi」を導入します。

三菱商事との提携と、新業態の開発

2000年には東証一部に上場したほか、三菱商事との業務提携を開始。

2001年には「ナチュラルローソン」1号店を開始したほか、2005年には「ローソンストア100」など、新業態も開発。


2010年には共通ポイントプログラム「Ponta(ポンタ)」サービスを開始したほか、HMVジャパンを子会社化。

2014年には高級スーパー「成城石井」の株式を取得。

2016年には三菱商事が株式公開買い付けを行う方針を発表。実際に連結子会社化が完了したのが2017年という流れです。

2018年には「ローソンバンク」の準備会社も立ち上げるなど、今後の動きにも注目が集まっています。

過去の提携

2000年以降の提携も一覧にしておきます。

2000年:三菱商事と業務提携

2003年:日興コーディアル証券(株)との包括的業務提携に基本合意

2005年:東京急行電鉄と業務提携契約を締結

2006年:エヌ・ティ・ティ・ドコモと資本・業務提携契約を締結

2009年:マツモトキヨシHD、サンエー(沖縄県)との業務提携

2010年:オリコン(株)と業務資本提携

2011年:ヤフー株式会社との連携を発表

2012年:KDDIと業務提携

2013年:九州の調剤薬局「(株)ミズ」、大地を守る会と業務提携

2014年:ポプラと資本業務提携に係る基本合意書を締結

2015年:

・NTTドコモと相互送客を目的とする業務提携合意

・(株)メトロコマースと業務提携契約を締結し、東京メトロ構内の売店をローソンに転換

・SGホールディングス(佐川急便)とローソン店舗を起点にした配送やサービスの拡充に関する業務提携契約を締結

・楽天と連携し、「コンビニ受取りサービス」開始

2016年:NTTドコモ、ドコモ・バイクシェアとサイクルシェアリングサービス提供に関する業務提携合意


ローソンの事業セグメントと各セグメントの営業総収入

ローソンは、コンビニ「ローソン」だけではなく、大きく4つの事業を展開しています。

①国内コンビニ事業

コンビニチェーン「ローソン」「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」を展開。

②成城石井事業

高付加価値・製造小売型のスーパー「成城石井」を展開。

③エンタメ関連事業

ローソンHMVエンタテイメントにて、ローソン店舗でのチケット・音楽・映像ソフト販売。

映画館を運営するユナイテッド・シネマも傘下。

④海外事業

中国やタイなどでコンビニ事業を展開。

その他、店舗でのATM事業(⑤金融サービス関連)と店舗へのコンサルティング(⑥コンサルティング事業)なども展開。

各事業の売上高を見てみましょう。

国内コンビニ事業が4197億円を売り上げ、全体の66%を占めています。

成城石井の売上は858億円、エンタメ関連事業は715億円を売り上げています。


「ローソン」事業の状況

続いて、ローソンのメイン事業である国内コンビニ事業の状況を整理してみましょう。

まずは、全体の店舗数の推移です。

2017年2月末には1万2575店舗に達しており、そのうち「ローソン」が1万1636店舗と、大部分を占めています。

ちなみに、業界トップの「セブンイレブン」は、国内だけで20,286店舗、世界で64,319店舗を展開しているとのこと。 


ローソンのチェーン全店売上高の推移です。

ローソンのチェーン全店売上高は2兆円ほど。そのほとんどを加盟店(フランチャイズ)が占めていることが分かります。

1店舗あたりの平均売上を計算すると、1億6000万円ちょっとということになります。

ほとんど横ばいであり、チェーン全店売上の増加は、店舗数の拡大に起因していることが分かります。


海外店舗も増えています。

2017/2期末には1000店舗を超えています。


今後の戦略

統合報告書より)

ローソンは、2021年度までに営業利益1000億円以上の大台に乗せることを目標として事業を進めています。

基本的に、コンビニ事業では「商品力(コンテンツ)による差別化」「効果的な店舗展開」の二つが勝負所となります。

前者で消費者の心をつかみつつ、適切なロケーションに店舗を広げていけるか。

中でも、コンビニ店舗数を18,000店舗(今の1.5倍)まで拡大するというのが戦略上の大きなポイントとなりそうです。


その他の事業数値

最後に、ローソンに関するその他の事業数値をグラフにしていきます。

資産の内訳

総資産は8665億円に達し、現預金hなそのうち 681億円。

有形固定資産の合計は3245億円と大きく、そのうち「建物及び構築物」「リース資産」がそれぞれ純額で1837億円、1104億円に達しています。

土地は97億円と、全体の規模からすれば小さな水準です。

負債と純資産

バランスシートの反対側を見ると、負債が5805億円とかなり大きくなっています。

そのうち、借入金は合計で880億円ほど。

利益剰余金は1652億円、資本金と資本剰余金の合計が1076億円という水準です。

自己資本比率

負債が増えているため、自己資本比率は低下傾向です。

ローソンは、2021年度までにこれを50%程度まで改善していくとのこと。

キャッシュフロー

営業キャッシュフローは毎年1000億円前後を生み出しています。

事業で稼いだキャッシュを設備投資や財務活動(配当金など)に回すという、優良企業のキャッシュフローです。

フリーキャッシュフロー 

フリーキャッシュフロー は年間400億円前後。

今後は積極的に設備投資にあてていくとのことなので、中長期的に成長軌道に載せられるかが焦点となります。


まとめ

コンビニ業界は、低迷する日本の小売業界の中でも成長を続ける数少ない分野です。

その中の主要プレイヤーの一つであるローソンの動向について理解しておくのは、全てのビジネスパーソンにとってとても重要なのではないでしょうか。

ローソンは、従来のコンビニ事業だけでなく、「オフィスグリコ」的なオフィス内コンビニの設置もはじめています。

プライベートブランドの開発から、店舗のロケーション戦略、物流戦略など、「小売業の総合格闘技」とも言えるコンビニ業界は、とてもエキサイティングな領域だなと改めて思いました。


今後も勉強を重ねながらワッチしていきたいと思います。