4年連続で売上20%以上成長しているMonotaROの業績
MonotaRO

MonotaROは2000年10月に工場用間接資材の通信販売を目的に、住友商事と米国グレンジャー社の出資により「住商グレンジャー」の名で設立された会社。2006年に東証マザーズに上場。

現在は同社と連結子会社1社から構成され、主にインターネット通販を通じて、国内外の中小製造業を主な顧客として販売。

商品は国内外の卸業者・メーカーから仕入れられ、工場で日常的に使われる消耗品や補修用品が中心で、ホームページのウェブカタログや顧客に配布する紙カタログに記載される。プライベートブランド商品も展開。

顧客へのマーケティングには、チラシの郵送、ファックスやメールの送信、インターネット広告やラジオ・テレビなどのマス媒体を利用。

全体の業績推移


売上高は2011年の222億円から、2015年には556億円まで成長。売上成長率すごい。計算したら4年連続で20%以上の成長率。

経常利益率は10%前後。

就業従業員数は282人。臨時雇用者も含めると807人。

円安による原材料価格の情報や、中国経済の減速懸念などが先行き不透明をもたらす中、国内の景気回復のおかげもあって堅調に推移している。

事業戦略としては、検索エンジンへのリスティング広告の出稿やウェブサイトの検索エンジン最適化(SEO)を主軸にマーケティング活動を行った。

多様な需要に対応するため、取扱商品はおよそ900万点を数え、ホームページ内に「医療・介護用品」専用モールを運用開始。

また、サービスの認知拡大のため、間接資材売買のコスト削減効果のシミュレーション機能を持った「間接資材の調達改革 法人専用サービス」サイトを開設した。

今後の課題と戦略

2016年3月提出の有価証券報告書によれば、「対処すべき課題」として次の5点を挙げている。

1. 新規顧客の獲得

2. 顧客需要充足と利益率の双方を意識した商品マネジメント

3. より精度の高いデータベースマーケティングと商品検索性の提供

4. 成長の基盤となる物流インフラの強化

5. 海外事業の推進

海外事業については韓国に子会社を2013年より営業しており、早期の黒字化を目指している。

また、「事業等のリスク」として以下の13点を挙げている。

1. 価格競争激化の可能性について

価格比較サイトの発展などによる商品価格の低下について言及

2. ビジネスモデルの阻害要因について 

自動プライシング機能を有するビジネスモデルなど、新たな技術発展による脅威の出現可能性に言及

3. 競合について

いっぱい競合がいるらしい

4. 登録会員数の獲得について

マーケティング費用の上昇リスクについて言及

5. 在庫管理について

総資産に対して17.7%にも及ぶ棚卸し資産(約51億円)に言及。

6. 物流拠点の集中・依存について

物流業務の8割以上を尼崎ディストリビューションセンターに依存しているリスクに言及

7. システム・インターネットの障害について

注文の9割に達するインターネット通販の停止リスクに言及。

8. インターネットを利用した営業形態への依存について

インターネット商取引自体の信頼が損なわれたら?というリスクに言及。それはなくないか?

9. 外国為替レートの変動について

輸入商品の仕入に占める比率が9.6%に達し、今後も増加が見込まれる中、為替リスク低減のための為替予約などを行なっていないことに言及。

10. 顧客情報保護について

決済情報などを持ってるから漏洩したらやばい、という話

11. 法的規制について

「特定商取引に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」「不当競争防止法」「製造物責任法」「消費者契約法」など、いろんな法律から影響を受けるらしい

12. 訴訟について

顧問弁護士に相談しているけど、完全に把握するのは難しいらしい

13. 国内の景気動向の影響について

景気が悪化しても製造業での部品の交換需要は継続的に発生するので、相対的に景気変動の影響は受けにくいらしい。だけど、仮に中小企業の業績がめっちゃ悪化したら、MonotaROの事業も影響をさすがに受ける、と言及。


上場企業、「自分たちはやばくなるケース」についての説明責任もあるの面白いな。

資本関係

前述の通り、MonotaROは住友商事とGrainger社の合弁で始まった会社だが、2009年にGraingerグループによる株式の保有割合が過半数(50.67%)を超え、Grainger社の子会社となっている。

Grainger社はFortune 500にも選ばれている製造業のサプライカンパニー。1927年創業ということで、かなりの歴史がある。