パソナグループは連結子会社58社と持分法適用関連会社4社を傘下にもつ企業。昭和51年に主婦の就労機会創出を主な事業目的としてその前身が創立された。現在はエキスパートサービス(人材派遣)、インソーシング(委託・請負)、キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援)、福利厚生アウトソーシングなどの人材関連事業を広く展開。
創業者の南部 靖之氏は1970年代、ソフトバンクの孫正義、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄とともにベンチャー三銃士と称された。
(出典:パソナグループ 有価証券報告書より)
売上高は2000億円前後から2600億円を超えるまで成長。
売上経常利益率は2%以下という水準だ。
従業員は全体で7144名で、そのほとんどがエキスパートサービスやキャリアソリューション、アウトソーシングなどの人材関連セグメント。
まずはセグメントごとの売り上げをグラフにしてみる。
エキスパートサービス(人材派遣)が半分以上を占め、次にインソーシング(委託・請負)が3割程度。そしてアウトソーシング、人材紹介、海外、人材コンサルと続く。
エキスパートサービス(人材派遣):売上高1325億円
サービス業やメーカーをはじめ多くの業界で受注が増加。また、人材のスキルアップに合わせ、料金交渉にも積極的に取り組んだ結果、金融や経理などの専門事務や貿易事務が伸長。
2016年4月には大阪ガスエクセレントエージェンシー社がパソナの子会社となり、関西エリアの事業基盤を強化。村田製作所の子会社だったムラタアクティブパートナーの人材派遣事業も譲受し、エレクトロニクス分野の研究開発人材を拡充。
インソーシング(受託・請負):売上高731億円
マイナンバー導入や派遣法・労働契約法の改正により、組織コンサルティングの需要が増大。それに対し、人材派遣やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を柔軟に組み合わせて顧客の課題を解決。
パブリック分野では、窓口業務や保育関連事務などの行政事務代行が拡大したほか、地方創生に関わるUターン、Iターン、Jターン支援やシティプロモーション案件が増加。
前年比66.9%の大幅な売上増加となった。
HRコンサルティング、教育・研修、その他:売上高604億円
外国人旅行客への接客や日本式おもてなし、語学など、インバウンド関連の教育・研修のニーズが増加。
グローバルソーシング(海外人材サービス):売上高618億円
人材派遣、紹介、BPOの全カテゴリーで増収。特に、北米での新規あるいは再進出する日系企業が増加し、業績を牽引した。
また、ASEANにおいても、インドネシアでの人材派遣やベトナムでのITアウトソーシングや採用代行などの受託が堅調に推移。
人材紹介では経理や人事など管理部門を中心に制約が増加。女性管理職候補の制約も伸長。
再就職支援では、起業や地方へのU・Iターンを含むセカンドライフ支援を強みに受注を獲得。
主力の福利厚生サービスでは提案営業を積極的に行い、中小企業の開拓に注力。従業員らが福利厚生メニューを個別に選択できる「カフェテリアプラン」の導入数が拡大。
同社は、有価証券報告書の中で「対処すべき課題」として次の4点を挙げている。
1. ソリューションサービスの深化
2. 成長ドライバーへのさらなる注力
3. 収益性の改善
4. 成長領域での価値創造
この中で、「収益性の改善」では「グループの重複機能を見直し、バックオフィスオペレーションではAIを活用し業務を進化させる」と興味深い記述があった。