事業内容
キリンホールディングスは、純粋持株会社制を採用し、グループ戦略の策定や経営のモニタリングを行っています。同社は、177社の連結子会社と28社の持分法適用会社で構成され、さまざまな事業セグメントを展開しています。
まず、酒類事業では、麒麟麦酒株式会社とLION PTY LTDを中心に、国内外でビールや低アルコール飲料の製造・販売を行っています。国内では麒麟麦酒が主導し、海外ではLION PTY LTDがオセアニア地域や北米でクラフトビールの製造・販売を担当しています。
飲料事業では、キリンビバレッジ株式会社とCoca-Cola Beverages Northeast, Inc.が中心となり、清涼飲料の製造・販売を行っています。キリンビバレッジは日本国内で、Coca-Cola Beverages Northeastは米国でコカ・コーラ製品を展開しています。
医薬事業は、協和キリン株式会社が中心で、国内外で医薬品の製造・販売を行っています。協和キリンは東京証券取引所プライム市場に上場しており、医薬品分野での存在感を示しています。
ヘルスサイエンス事業では、株式会社ファンケル、Blackmores Limited、協和発酵バイオ株式会社が中心です。ファンケルは化粧品や健康食品を国内で展開し、Blackmoresは豪州や東南アジアでサプリメントを提供しています。協和発酵バイオは医薬品原料やアミノ酸、健康食品を製造・販売しています。
特集記事
経営方針
キリンホールディングスは、2027年に向けた長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」(KV2027)を掲げ、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV(Creating Shared Value)先進企業を目指しています。このビジョンの実現に向け、同社は「キリングループCSVパーパス」を策定し、社会と共に持続的に成長するための指針を示しています。
KV2027の実現に向け、キリンホールディングスは既存の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、「ヘルスサイエンス領域」を新たに立ち上げました。この領域では、発酵&バイオテクノロジーを活用し、次世代の成長の柱となる事業を育成しています。また、社会課題の解決を成長機会と捉え、イノベーションを実現する組織能力を強化し、持続的な成長を可能にする事業ポートフォリオを構築しています。
同社は、持続的成長のための経営課題を「グループ・マテリアリティ・マトリックス(GMM)」として整理し、事業へのインパクトとステークホルダーへのインパクトの観点から評価しています。GMMは時間の経過とともに変化するため、適時再評価を行い、社会的要請への適合度を高めています。2025年以降に向けて、ステークホルダーとの対話や役員による意見交換を通じて、重要課題を整理し、社会と共に持続的に発展するための基盤を強化しています。
キリンホールディングスは、2027年に向けた計画として、環境変化に柔軟に対応しつつ、KV2027で掲げたビジョンの実現を目指しています。これまでの構造改革ステージから成長実現ステージへと移行し、酒類・飲料、医薬、ヘルスサイエンスの事業ポートフォリオを活用して、一桁後半%のEPS成長を目指しています。事業の注力分野での価値創造や人財、R&D、デジタル、マーケティングへの投資強化を優先課題としています。
同社は、財務目標としてEPSの成長による株主価値向上を目指し、ROICを継続的に資本コストを超える水準に設定しています。非財務目標としては、健康、コミュニティ、環境、人的資本の各項目を掲げ、CSV経営を推進しています。これにより、社会課題の解決を通じて社会的価値と経済的価値を創出し、持続的な成長を実現することを目指しています。