事業内容
沿革・会社概要
藤久株式会社は、名古屋市名東区に本社を置く小売企業。1952年、絹糸類の加工販売を目的に、後藤久一氏によって「後藤縫糸」が創業された。その後1961年に「藤久株式会社」に組織変更された。1968年から手芸専門店のチェーン展開を開始。1980年には通信販売を開始した。また、2008年には店舗内ソーイングスクールを開講。2020年6月現在、419店舗(うちOS店147店、店舗内ソーイングスクール213店)を展開している。
事業内容
藤久は、毛糸、手芸用品、生地、和洋裁服飾品、衣料品及び生活雑貨等を中心とした一般小売事業を主たる業務としている。事業部門として、手芸専門店チェーン『クラフトハートトーカイ』『クラフトワールド』『クラフトパーク』『クラフトループ』や生活雑貨専門店『サントレーム』を営む店舗販売部門、カタログやオンラインショップによる販売を行う通信販売部門、不動産賃貸等を営むその他の部門を展開している。
資本業務提携
鈴蘭合同会社と資本業務提携を行っている。鈴蘭合同会社は東京都港区に本社を置き、糸類、織物、生地の加工・販売を営んでいる。
経営方針
社会構造がデジタル化・システム化するほど、人は心癒されるものや自己実現を目指してオリジナリティを求め、余暇時間の有効活用や生涯学習を志向すると思われる。藤久は、心の「やすらぎ」や「ゆとり」を支えるアナログ文化である「ハンドメイド」の企画・販売を通じ、「手芸の喜びと感動」を実感させ、心豊かな暮らしの実現を提案する感動創造企業を目指している。
経営戦略
藤久は、会員制度を進化させ、顧客満足度を高めるとともに、会員データを使った他社との業務提携を通して業容の拡大を図る。またソーイングスクールについては、内容を充実させるとともに、会員ビジネスとの融合を図ることで、会員制度の付加価値を高める。
経営環境
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、手作りマスクの需要が高まり、業績を押し上げた。この傾向は当面続くと予想し、「巣ごもり需要」を取り込み、新規入会者の定着率を高めるために、会員ビジネスに一層注力していく。さらに、新しい生活様式へ変わるなか、手作りという「価値のある時間の過ごし方」を提供するため、あらゆる施策に取り組む。
対処すべき課題
藤久は「藤久リボーンプラン」に取り組んでいる。「藤久リボーンプラン」とは、不採算店舗の閉鎖やリストラクチャリング、輸送業務の効率化、仕入れコストの低減などによる、既存売上高の回復のための施策である。しかし、第60期末時点においては当初予想した結果には至っておらず、今後各施策の分析を行い、軌道修正を図る。なお、新型コロナウイルス感染症の影響による「巣ごもり需要」の増加によって、足元では需要が拡大しているが、今後の感染症の拡大や、景気の状況によっては予断を許さない環境が続くと予想される。藤久は、顧客や従業員の安全を第一に考え、感染防止対策に万全を期すとともに、全社一丸となりこの難局を乗り越える。
店舗販売部門における重点目標
会員制度の進化
藤久の手芸専門店では、年会費500円の会員制度を運用しており、2020年6月末時点で約140万人の有効会員数を有している。しかし、現行の会員特典は商品の割引とポイント付与のみであり、特典としては不十分であると認識している。今後は、顧客が望む新たな商品やサービスを提供し、年会費を頂戴する価値のある会員制度へ再構築したうえで、現行の会員制度を女性に向けた「会員ビジネス」へと進化させる。
教室運営の拡大
2020年6月末時点で213店舗が店舗内ソーイングスクールを導入している。一方、ソーイングスクールに続く教室の確立が数年来の課題となっている。藤久は、物販から手作り体験、そしてパーソナライズ(個人最適)へと昇華させるため、Webを利用した講習会など、今後も新たな教室の開発に邁進していく。
システム面の刷新
基幹システムの老朽化が進んでるうえ、在庫、商品コード、顧客情報といった重要な情報が適切に管理・運用されていない。通信販売部門との連携も視野に入れ、2021年7月の全面移行を目標に、新基幹システムの開発を進めている。また、店舗で使用しているPOSは10年以上前の設計であり、様々な課題を抱えているため、タブレット型端末の導入も検討していく。
美観修繕の実施
路面店を中心に老朽化が目立ち始めた。女性のための店舗として、より清潔感や明るいイメージを与え、気軽に入りやすい店舗とすべく、外観を中心に美観修繕を計画している。また、売り場づくりが店舗ごとにバラつきがあるため、店舗の標準化を進めていく。