AI・機械学習を活用したアルゴリズムモジュールの開発や、ITシステムの開発・運用などを手掛ける「JDSC」が2021年12月20日、東京証券取引所マザーズへの新規上場を果たした。
同社は「AIでデータの真価を解き放ち、産業の常識を塗り替える」というビジョンを実現すべく、個社課題の改善のみではない産業全体の改革やSDGs達成への貢献を掲げている。
株式会社としての始まりは2018年と比較的最近のことだが、売上規模はすでに10億円を超える。今回は、JDSC代表取締役CEOの加藤エルテス聡志氏に創業から現在に至るまでの軌跡を聞いた(語り下ろし形式)。
医療現場で「組織を超えてデータを活用する」ことの価値に気づく
私はP&Gやマッキンゼー、米系製薬会社に勤めたのち、起業しています。そのきっかけになったのは、製薬会社にいるとき、ヘルスケア業界に様々な非効率があることに気づいた経験からでした。
ある大学病院では、患者の疾患、治療内容、治療経過などを管理する方法が非常にアナログでした。患者データのエクセルをUSBにいれて、データベース作成時にUSBごと輸送していたんです。
私が尊敬していた医師の先生方も苦労しているようでした。データの整理が遅れていて困っていたり、臨床も抱えてただでさえ睡眠時間も短い中、論文作成のためデータクレンジングで徹夜したり、レジストリ(研究用の患者データベース)のデータ入力ロジを管理したり――というような状況だったのです。
自分の目の前で困っている医療従事者の方々の手助けをしたいと思い、設立したのが「一般社団法人日本データサイエンス研究所」でした。2013年のことです。
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・当初の活動の中心は〇〇領域
・現在展開している二つのビジネスモデル
・創業2年強で約33億円を行えた背景