事業内容
DICは、連結子会社152社と関連会社18社を含むグループを形成し、3つの主要な事業セグメントを展開しています。
1つ目のセグメントは「パッケージング&グラフィック」です。このセグメントでは、プリンティングマテリアルとパッケージングマテリアルの2つの製品本部があります。プリンティングマテリアルでは、グラビアインキやフレキソインキ、オフセットインキ、新聞インキ、ジェットインキ、金属インキ、印刷用プレート、セキュリティインキを提供しています。パッケージングマテリアルでは、ポリスチレン、包材用接着剤、多層フィルムを取り扱っています。
2つ目のセグメントは「カラー&ディスプレイ」です。このセグメントには、カラーマテリアルとディスプレイマテリアルの2つの製品本部があります。カラーマテリアルでは、塗料用顔料、プラスチック用顔料、インキ用顔料、スペシャリティ用顔料、カラーフィルタ用顔料、化粧品用顔料、ヘルスケア食品を提供しています。ディスプレイマテリアルでは、TFT液晶やSTN液晶を取り扱っています。
3つ目のセグメントは「ファンクショナルプロダクツ」です。このセグメントには、パフォーマンスマテリアル、コンポジットマテリアル、ケミトロニクスの3つの製品本部があります。パフォーマンスマテリアルでは、インキ・塗料用、成形用、接着用、繊維加工用の各種合成樹脂や硫化油、金属石鹸を提供しています。コンポジットマテリアルでは、PPSコンパウンド、樹脂着色剤、中空糸膜、中空糸膜モジュール、理化学・診断薬資材を取り扱っています。ケミトロニクスでは、エポキシ樹脂、工業用テープ、UV硬化型樹脂、電子材料用界面活性剤、フォトレジストポリマーを提供しています。
特集記事
経営方針
DICは、2030年に向けた成長戦略「DIC Vision 2030」を掲げています。このビジョンのもと、同社は「グリーン」「デジタル」「Quality of Life(QOL)」の3つの社会貢献領域を設定し、持続可能な社会の実現を目指しています。特に、サステナブルエネルギーやヘルスケア、スマートリビング、カラーサイエンス、サステナブルパッケージの5つの重点事業領域に経営資源を集中させています。
DICは、事業ポートフォリオの変革を進めるため、人的資本経営の強化や戦略投資、技術プラットフォームの拡充、グローバル経営体制の強化、IT・DXの推進といった具体的施策を展開しています。また、サステナビリティ戦略として、サステナブル製品の拡大やCO2排出量削減、サーキュラーエコノミーへの対応を進めています。
DICは、2022年度からの4年間を「DIC Vision 2030」の基盤づくりの期間と位置づけ、積極的な開発投資や事業買収を行っています。しかし、経営資源の分散や外部環境の変化により、計画達成に遅れが生じています。このため、2025年度の目標を見直し、2026年度以降の最高益更新を目指しています。
DICは、経営資源の配分を見直し、特に「スマートリビング領域」を最重要領域と位置づけています。エレクトロニクス分野を強化し、パワー半導体用高耐熱樹脂や先端半導体レジスト用樹脂、5G/6G用低誘電樹脂、次世代電池用接合材などの分野での成長を目指しています。他の重点事業領域でも、買収事業の合理化やシナジー効果を追求し、早期の収益化を図っています。