欧州で深刻化する「天然ガス」価格の高騰
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データ:World Bank
天然ガスの先物価格が乱高下している。ニューヨーク市場では2008年以来の高騰を示す中、火曜日(現地時間)は11%もの急落となった。
価格高騰は米国でも更なるインフレ懸念を呼ぶが、さらに深刻なのが欧州だ。World Bankによると、欧州の天然ガス価格はmmbtu(百万英熱量)あたり40ドル。前代未聞の水準である。
IEA(国際エネルギー機関)によると、EUがロシアから輸入した天然ガスは1,550億㎥で全体の45%を占める。消費量ベースでも40%近い。
さらにIEAは、EU諸国がロシア産天然ガスへの依存度を下げる「10点計画」を公表。新たな輸入を止め、代替先を探し、風力や太陽光に投資するなどの打ち手を提案した。
これらの取り組みにより、ロシア産天然ガスの輸入を一年で50億㎥も削減できるとIEAはいう。石炭や石油などの代替手段に移れば、合計80億㎥削減できる。
上記計画をEU諸国が実行するのは容易ではない。ドイツ銀行協会(BdB)は4日、ロシアからの石油・ガス供給が止まればドイツ経済は深刻な景気後退に陥ると警告。ドイツでは3月のインフレ率が7.6%に加速するなど、経済への影響が本格化している。