レッドオーシャン化するM&A仲介――それでもストライクが伸びている理由

中小企業の事業承継ニーズや大企業の成長戦略ニーズに支えられ、M&A市場の拡大が続いています。2024年の上場企業によるM&A件数は1,221件と前年から14%増加し、2007年の1,169件を上回る過去最多を記録しました。
市場の活況を背景に仲介業者の新規参入も相次ぎ、業界は「競争の激しい業界」となっています。特に中堅・中小企業向けM&A仲介は成長市場と注目され、多くの企業が参入した結果、案件獲得競争が激化しつつあります。
競争が激化する中で進んでいるのが、仲介各社の差別化戦略や価格競争です。医療・IT・建設など特定業界に特化したM&A仲介サービスが台頭する一方、手数料面では成功報酬の二極化が進み、大型案件では高額手数料を獲得する一方、小規模案件では新興仲介業者による低料金サービスの登場で手数料引き下げ圧力が強まっています。
新興プレイヤーの一部は成功報酬を低率に抑えるモデルを打ち出し、小口案件の取り込みを図っています。大手仲介各社も高単価の大型案件を狙う戦略と、小型案件を効率的に捌く戦略の両面で競争に直面しています。
業界の規制・ガイドライン整備も進んでいます。2024年8月に中小企業庁が「中小M&Aガイドライン(第3版)」を改訂し、仲介業務内容や質と手数料の透明化などが強く求められるようになりました。業界では自主規制の機運も高まり、2025年1月には業界団体が名称を「M&A支援機関協会」に変更して資格制度の検討委員会を設置しました。
今回フォーカスするストライクは、日本の独立系M&A仲介会社「御三家」の一角とされる主要プレイヤーです。1997年に公認会計士・税理士を中心に設立され、中堅・中小企業のM&A仲介を主業として歩んできました。