クアルコムによるアップルの訴訟について報道されている(WSJ)が、そもそもクアルコムとはどんな会社なのかを調べてみたい。iPhoneの部品を作っている会社、くらいの知識しかない。
クアルコムは米国の半導体メーカーであり、ワイヤレス通信機器部品の製造に強みをもつ会社。本社はカリフォルニア州サンディエゴで、2016年9月期の売上高は235億ドル、そのうち57%に当たる135億ドルが中国であげられている。
創業からの流れをざっくりと把握してみよう。
クアルコムは1985年、7名がサンディエゴにあるアーウィン・ジェーコブズ教授の書斎に集まり「Quality Communication」を創造しようということで始まったそうだ。7人ともかなりのベテランで、かなりのおじさんベンチャーだったようだ。
日本語ホームページの会社紹介がなかなかシュールである。
岡本太郎っぽい。
創業の年、クアルコムは米国軍隊と最初の契約を結び、ワイヤレス通信技術「CDMA(Code Division Multiple Access)」に関するプロジェクトを開始した。
1989年になると、PacTel CellularとともにCDMAによるワイヤレス電話通信のデモンストレーションをワイヤレス通信業界で最も影響力のある50社に対して行い、歴史的な成功を収めたという。
1991年にナスダックに上場し、1993年にはCDMAを利用したパケット通信のデモを行い、米国電気通信工業会(U.S. Telecommunications Industry Association)において携帯電話の標準規格に認められた。
1998年になると、世界初の商用CDMAスマートフォン「”pdQ” CDMA phone」を発表。1999年にはS&P500及びフォーチュン500にも選ばれる。3Gはこの年に発表されたようだ。
2009年には3GとLTEを統合したチップセットを発表。2012年には「HSPA+」「LTE-Advanced」を両方サポートするモデムを世界で初めて発表。ここら辺になるとよくわからないな。
クアルコムの製品は、以下の4つが主要なカテゴリらしい。
モバイル・プロセッサ、携帯モデム、Bluetooth製品、Wi-Fi製品。
2017年2Qの業績が出ていたので見てみよう。
四半期売上高は60億ドル、「MSM」チップは1.79億個配送。全体で826億ドルものデバイスが売られたという。
世界全体の3G/4G機器の発送量の推計。2015年が15億、2016年が17億、今年は18億前後になる見込み。
事業の中身についてはかなりわかったので、ここから企業価値の分析を試みます。
まずは過去のキャッシュフローの推移。
毎年生み出されるフリー・キャッシュフローにばらつきはありますが、全体として40億ドルから80億ドルの間で推移しています。
そこで、今後毎年50億ドルのキャッシュが生み出されるものとして企業価値を試算してみます。
年 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
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予測FCF | 50億 | 50億 | 50億 | 50億 | 50億 |
現在価値 | 47億 | 44億1800万 | 41億5292万 | 39億374万4800 | 36億6952万112 |
有利子負債額9億9400万 | 有利子負債コスト0.1 | 実効税率0.4 | |||
株主資本時価776億7000万 | 株主資本コスト0.06 |
WACC 0.06 |
|||
永久成長率0.03 |
継続価値 1716億6666万6666 |
企業価値 1925億1085万1578 |
有利子負債の金利が10%と書いてあって、さすがにこれはと思いましたがどうなってるんだろう。
ともかく、時価総額776億ドルに対して1925億ドルという内在価値があるという計算になります。
Apple依存もあるものの、成長可能性も決して小さくないと思うので、もう少し調べたいところですね。