シニアマーケティングで累計15万台のヒット “良い音”ではない「ミライスピーカー」はなぜD2Cで売れたのか

高齢化が進む中で、「耳の遠い人」は当然ながら増えている。また、騒音問題も難聴の大きな原因になっており、WHOの調査によると、難聴者は2050年までに世界で25億人になると予測している。

日本では1,400万人が難聴者と言われており、75歳以上では3人に1人の割合になっている。

一方、補聴器の普及率は、調整の難しさから難聴者のうち15.2%にしか普及していない。聴こえづらさの解決は難しく、生活の質を下げる要因になっている。

オーディオ市場はと言うと、サウンドバーに押され、従来型のスピーカーの販売台数は落ち込んでいる。そんな中、スピーカーの中では累計15万台という異例のヒットとなっているのが「ミライスピーカー・ホーム」だ。

ミライスピーカー・ホーム(右)と特許技術を持つ内部の振動板(左)

ミライスピーカー・ホームは平板を湾曲させた振動板を用いたスピーカーだ。「良い音」ではなく、「聴こえやすい音」を追求していることが特長だ。D2Cで販売を開始し、高齢者やその家族を中心に売れ行きを伸ばした。

テレビCMではタレントの高田純次氏を起用し、マーケティングにも積極的だ。日本テレビ放送網からの出資も得ており、順風満帆に見える。

しかし、この商品のヒットまでには紆余曲折があった。今回はミライスピーカーを製造・販売するサウンドファンの代表取締役社長/CEO・山地浩氏にインタビュー。ものづくりベンチャーの難しさと、その突破口の見つけ方、またミライスピーカーの成長戦略を聞いた。

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