「デジタル」フィットネスバイクなどの販売で知られるPelotonが2月1日、2022年10〜12月期決算を発表。売上高は7.9億ドル(前年比30%減)、営業損失は3.3億ドル(前年同期は4.3億ドル)だった。
依然として事業の立て直しが続く中、発表後の株価は30%近くもの高騰。昨年末と比べると、一時倍増した。
株価急騰の背景にはマクロ要因に加え、同社が「経営破綻」懸念を脱却したとの観測もある。しかし、果たして実際のところはどうなのか。危機下でどんなことに取り組み、どのような成果が出ているのだろうか。
今回の記事では、Pelotonの決算概要について数値とともにまとめつつ、経営陣が語った事業再建の取り組みについて紹介する。
Pelotonはいわゆる「SaaS Plus a Box」モデル。タブレット付きの高額なデジタルフィットネスバイク等を販売し、その上で毎月の会費を徴収するという商売をしている。
巣篭もり需要がピークに達したときはハードウェア販売(Connected Fitness Products)が伸びに伸び、会費収入(Subscription)も急増した。やがてサプライチェーン逼迫と需要減により業績が低迷、一時はピーク時の二十分の一まで株価が下落した。
創業以来、Pelotonは「徹底的な垂直統合」を特徴としてきた。製品の製造から配達、ソフトウェアなど多くを自社で抱え、米国のメーカーを買収し製造能力を高めた。利用者の満足度を追求する姿勢は高い支持を集めたが、需要減少に転じると一気にキャッシュフローが厳しくなる。
積極的すぎた経営の責任を取る形で、創業者CEOのジョン・フォーリーらが退任。2022年6月期通期では売上高35.8億ドルに対して営業損失27億ドルを計上した。年間でキャッシュフロー20億ドルが流出し、残キャッシュは12.5億ドルだった。何も手を打たなければ、破綻まっしぐらである。
2022年のPelotonは、主に三つの難題に直面していた。一つは資金繰りで、それに関連してコスト削減も急務だ。さらに、売上高が減少基調にあることも大きな問題だった。