落合陽一氏率いるスタートアップ「PxDT」が目指す、“事業会社への脱皮”とは

筑波大学准教授でありながらメディアアーティストとしても活躍する落合陽一氏。彼が率いるスタートアップ企業がピクシーダストテクノロジーズ(PxDT、東京都千代田区)だ。

同社は2017年設立の研究開発(R&D)企業で、「社会的意義があるものを連続的に生み出す孵卵器になる」というミッションを掲げる。

音、光、電磁波の計測や制御をする「波動制御」をコア技術とし、アカデミアや企業との連携を通じ、技術シーズをプロダクトに仕上げるビジネスモデルだ。

産学連携では筑波大学、東北大学と提携する。共同研究で生まれた知的財産権(IP)を100%譲渡してもらう代わりに同社の新株予約権(ストックオプション)を提供する独自のスキームを構築。毎年数十個以上の「事業の卵」が生まれている。

特定の技術を持つ企業との連携にも積極的で、これまでコラボレーションした企業は60社を超える。

今期(2023年4月期)には、複数の開発プロジェクトが実を結びプロダクトとして市場に本格投入できるフェーズに入った。製品・サービスの展開を加速し、研究開発企業から事業会社への脱皮を目指す。

今回の記事では、同社の事業を統括する代表取締役COOの村上 泰一郎氏に聞いた、足元の状況や今後の展望をインタビュー形式で紹介していく。

アカデミアの研究、ビジネスに昇華し社会実装

【略歴】むらかみ・たいいちろう 東京大学工学部を卒業後、同大学院にてバイオマテリアルを専攻。その後、アクセンチュアにてR&D戦略や新規事業戦略などを中心にテクノロジーのビジネス化を支援。2017年、ピクシーダストテクノロジーズに参画。代表取締役COO。

ーー御社の設立のきっかけと事業の特徴は。

私の目線で言えば、落合と課題認識が一致したことが一緒に会社をやるきっかけとなった。落合は大学から生まれた技術が世に出ないことに、私は大学の技術の社会実装のされなさや日本の研究開発ROIの低さに課題認識を持っていた。

そのため「アカデミアの先進技術を連続的に世に出し社会へ価値提供するための会社を作ろう」と立ち上げたのが、PxDTだ。

一般的な大学発ベンチャーは一つの研究成果を製品やサービスにするために会社を作るケースが多い。

我々はそうではなく、世の中にいくつもあるアカデミアや企業の研究成果を連続的に製品化することを目的としている。

連携やオープンイノベーションの形で新技術を取り込める体制を作り、PxDTでプロダクト化して世の中に送り出すビジネスモデルだ。

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