保険が効かない自由診療の医療機関に特化したSaaSを提供するメディカルフォース(東京都渋谷区)が躍進している。2020年11月の創業から2年弱で、「高須クリニック」など110施設の美容医療や歯科クリニックが採用した。
クリニックが値段を決める美容医療は「儲かる」医療の代表例とされ、稼げる分、デジタルの業務効率化が進まないアナログ市場だった。だが「整形大国」こと韓国の影響などを受けたブームで数が急増し、環境は激変しつつある。
同社は、保険診療とは異なる自由診療の業務フローを徹底的に分析。予約管理やオンライン診療など、現在は計11の業務を一元管理できるサービスを提供している。ある医院では、有人対応が導入前から半減した。
24日には6億円の資金調達を発表。創業者の大嶋翼CEOは「2023年までに国内シェア首位になる」と述べ、採用や宣伝など成長投資を本格化させる意向だ。
メディカルフォースが開発したのは、医療行為以外の現場業務をオールインワンで管理できるSaaS「medicalforce」。電子カルテの管理機能からスタートし、顧客の要望を聞いて作業をデジタル化できる機能を続々と増やしている。
medicalforceの機能一覧=メディカルフォース
LINE連携による予約受け付けや会計処理、CRM(顧客情報管理)、問診票や在庫品の管理などに対応し、「自由診療クリニックの業務・経営の全てを管理する」(同社)。導入側は月10〜15万円の利用料で、DXを一括で進められる。
市場自体の活性化が採用拡大の背景だ。注力する美容医療では、男性を含めて肌の手入れや脱毛に興味をもつ人が急増。「年間200〜300の開院がある」(大嶋氏)。マスク着用による肌荒れなどが要因にあるとされる。
矢野経済研究所によると、2021年の市場規模は前年比2%増の3990億円だった。整形など美容医療を使う心理的ハードルが若年層ほど低いという指摘もある。電車広告やテレビCMで関連サービスを見かける機会も増えている。
大嶋CEOがStrainerのインタビューに応じ、事業の優位性や市場環境の変化、将来の展望について語った。主なやりとりは以下の通り。