"広告を出せば売れる"時代は終わる 「ecforce」運営幹部が語るEC市場の変化
スーパースタジオ

ーー広告を出して商品が売れるイージーな時代はもう終わる。ECプラットフォーム「ecforce」を展開するSUPER STUDIO(スーパースタジオ、東京都目黒区)の花岡宏明COOはこう言い切る。

コロナ禍を経て日本のEC市場は急拡大した。参入する事業者も増え、デジタルマーケティングの一環として広告出稿数が増加したことで、広告単価は上昇が続く。

これまでの広告頼みのマーケティングでは、規模の小さい事業者は採算が合わなくなりジリ貧になっていくと花岡氏は予想する。その上で今後もEC市場で成長を続けるには「データの活用によるLTV(顧客最大価値)の向上」が不可欠だと指摘する。

こうした企業を支援するため、同社は誰もが簡単にデータを活用し適切な施策を打てる「次世代EC構想」を推進する。

今回の記事では、花岡氏に聞いた市場の変化や求められる企業の対応、SUPER STUDIOの強みや今後の展望をインタビュー形式で紹介する。

【略歴】はなおか・ひろあき 大阪府出身。2010年に関西大学卒、国内最大手SI企業に入社。プロジェクトマネージャーとして大手金融企業の基幹システムを運用。2014年にSUPER STUDIOを共同創業、同社取締役に就任。現在はCOOとして全事業のオペレーションを統括する。

トータル支援で競合と差別化、「勝ち方」知るブランドが支持

ーーBASEやShopifyなどの競合サービスと比較した際の優位性はどこにありますか?

我々はECプラットフォーム「ecforce」を主力サービスとして提供しているが、それ以外に自分たちでD2Cブランドも手がけている。その運営の中で培ったノウハウをプロダクトに還元することで本当に必要な機能を実装できているほか、ノウハウそのものをコンサルティングサービスとして顧客に提供している。

コスメや健康食品などのD2Cブランドをやってる事業者は、店舗を持たずデジタルネイティブにECサイトだけを立ち上げて勝負している。デジタルマーケティング領域が非常に重要で、単にECの運営にはカートシステムだけでなく、他にもたくさんのシステムが必要になってくる。

その部分もカバーするため、顧客対応のチャットボット型のシステムなど「ecforce apps」というサービス群を展開する。オペレーションも含めたトータルソリューションを展開できているのが強みだ。

平均年商が2億円程度の中規模な事業者が多い。競合の場合、例えばBASEさんは個人事業主向けがメインで、法人といっても小規模なところが多い印象だ。Shopifyさんは我々とBASEさんの中間といったイメージ。

中規模以上の事業者は、予算を組んでこれからさらに事業を伸ばしていくというフェーズが多い。 製造業など他の業界では、売上が企業規模と連動するが、ECではエンタープライズだからすごく流通額が多いかというと、そうではない。

D2Cモデルが台頭してるのは、無名ブランドでも初年度からは流通を数億円単位で出していくことが可能だからだ。中でも「ECの勝ち方がわかってる」事業者が我々のサービスを選んでくれている

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