「ECに第3の選択肢を」評価額4500億円、仏ユニコーンMiraklとは
ミラクル

仏スタートアップのMirakl(ミラクル)が今春、日本市場に参入した。すでに40カ国に進出し、2021年末時点の企業価値は35億ドル(約4500億円)と日本最大ユニコーンのプリファード・ネットワークス(約3500億円)を上回る。

販路を広げたい世界のメーカーなど5万社以上が、商品を登録するプラットフォームを展開。EC運営企業がブランドや価値観に合致する商品を自由に選び、自社のラインアップとしてECサイトに掲載できる。

総合ECへの出品、単独でのEC運営における弱点をそれぞれ解消する「第3の選択肢」を標榜。Amazon.comの攻勢に、「カスタマイズ」した自社ECで対抗したい小売り大手を中心に利用は300社以上に広がる。

SAPや米Microsoftを経て、4月に日本法人社長に就任した佐藤恭平社長にビジネスモデルを聞いた。

「ミニアマゾン」自社ECで提供

簡潔に言うなら、ミラクルは企業が自社のEC上に「ミニアマゾン」を構築できるシステムを提供する。ミラクルを通じて第三者のメーカーをECに招き、自己流のマーケットプレイスを作れる。

象徴的な例が、カナダの家電量販店大手Best Buy Canadaだ。家電製品のマッサージ機能付きチェアは自社ECで提供できるが、家具であるソファはできなかった。しかし、「座る」用途で一緒に検討したい消費者が一定数いた。

現在はミラクルが連携するメーカーからニーズに合うソファを選び、自社商品のようにECに掲載している。美容家電と合わせて、本来は専門外の香水や化粧品もそろえる。

佐藤氏は「消費者がワンストップで企業のECから商品を買いやすくなる。アマゾンに立ち向かう1つのツールになっている」と説明する。

ECに載せる商品は、メーカーの品質や哲学によって企業が選別する。無作為に並べてブランドを毀損する心配はなく、あくまで各企業流のマーケットプレイスになる。

Mirakl日本法人の佐藤恭平社長=Strainer

「マーケットオペレーター(EC運営企業)が在庫を抱えなくて良いことも、大きな強み」(佐藤氏)

ミラクルの仕組みで第三者メーカーの商品が購入されると、そのメーカーから消費者に直接発送される。「売れるか分からない商品を在庫しなくて済む」(佐藤氏)。メーカー側はミラクルを使い、販路の拡大につなげられる。

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