素材開発のTBMが資源循環モデルを世界に広げようとしている。
同社は今秋に国内最大級のリサイクルプラントを立ち上げ、企業や自治体から回収した廃プラスチックや石灰石から作る素材「LIMEX」を循環させる仕組みづくりを本格化する。
日本と並行して、東南アジアなどでも仕組みを構築するべく現地でのパートナー探しなどを始めている。2023年には構想を固め、2024年にもプラントの海外展開に乗り出したい考えだ。
TBMの事業を紹介した前回記事に続き、同社執行役員でCSO(最高戦略責任者)を務める山口太一氏のインタビューを紹介する。
【略歴】やまぐち・たいち 富士ゼロックスに入社後、新規ビジネス開発を担当。 その後、プライスウォーターハウスクーパースにて、 事業再生支援業務やM&A戦略検討から実行支援、PMI(M&A後の企業統合)業務に従事。2015年9月にTBM入社。経営企画室にて事業戦略、事業計画、 および資本政策の策定、量産工場に関するプロジェクトを推進。
ーーなぜ「資源循環モデル」の構築に取り組むのでしょうか。
TBMでは2030年に100万トンの資源循環をグローバルで実現するという目標を掲げている。LIMEXを使ってもらい回収して再利用するアップサイクルと、廃プラスチックの回収・循環も含めている。国内のみならず、グローバルで活動していくのが大きな展望だ。
ーー足元の取り組みを教えてください。
LIMEXに関しては、使ってもらった企業から回収をして、それをアップサイクルして戻すといった活動を個別ケースで取り組んでいる。 例えば田中貴金属さんの場合、CSR報告書にLIMEXを使ってもらい、過去の報告書を回収しコースターや植物を入れる鉢などに変えて再提供している。
セブン&アイ・フードシステムズさんの「麹町珈琲」で使ってもらったLIMEX製のメニュー表を回収し、それをトレーとして再生品化しデニーズのレストランで利用してもらう取り組みなどもある。
デニーズで利用されるLIMEXの再生トレー
廃プラに関しては、「CirculeX」事業で、プラスチックを製造する会社や再生プラスチックを取り扱う商社などから廃プラや再生プラをを購入し、それを必要とするところにマッチングして販売している。毎月の取扱量もボリュームが増えてきて、多いときは月2000トンぐらいになる。取引社数は100を超えている。
リサイクル業者のパートナーが全国におり、そこを通して再生している。 現状は循環モデル構築の布石として、廃プラを出す事業者や再生品を利用してくれるユーザーのネットワークを先行して築いているという状況だ。