素材開発ユニコーンのTBM(東京都千代田区)が、自社製品や廃プラスチックを効率的に再利用する「資源循環モデル」の構築に本腰を入れている。
創業者の山﨑敦義社長は、2008年頃に台湾企業の石炭石で作った代替紙「ストーンペーパー」に出会い、代理店の契約を結び日本への輸入販売事業を始めた。
その後、石灰石由来の製品の環境負荷の少なさや持続可能性に商機を見出し、独自素材を開発をするため2011年にTBMを設立。 紙やプラスチックの代替品となる「LIMEX(ライメックス)」のほか、原料の50%以上が廃プラスチックの「CirculeX(サーキュレックス)」などを開発し製品化する。
このほど、使用済みのLIMEXや廃プラなどを回収・再生する循環モデルの構築に乗り出し、3月には神奈川県横須賀市と提携した。今秋には同市内で国内最大規模のリサイクルプラントを竣工させる予定だ。
TBMは2030年までに50カ国で年間100 万トンのLIMEXとプラスチックの回収・再資源化に取り組むという目標を掲げ、今後は国内の主要エリアや海外にも循環モデルを広げていく。
今回はまず、TBMのこれまでの取り組みや製品特徴などを振り返り、次回は、山口太一執行役員・CSO(最高戦略責任者)のインタビュー記事で資源循環モデルの今後の展望を紹介する。
同社はこれまでに、伊藤忠商事や凸版印刷など20社以上から出資を受けている。2021年には韓国大手財閥のSKグループと135億円の資本業務提携を締結。TBMによると累計調達額は公表ベースで約234億円を越えている。経済産業省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からも補助金を獲得している。
スタートアップ支援のフォースタートアップス(東京都港区)によると、同社の企業価値は1300億円以上と推定され、ユニコーン企業となっている。
組織も順調に拡大し、足元の従業員数は約250人と3年で2倍以上に増加した。経営陣には商社や金融機関など大手企業の出身者が名を連ね、経営基盤も強靭化している。
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