メトロエンジン社長「独自データで圧倒的な差」 最適価格、精密な需要予測で算出
商品・サービスの価格を需給に合わせて柔軟に変更し、利益の最大化を図る価格戦略「ダイナミックプライシング」。需給や繁閑、競合を分析して設定価格を提案するAI技術を使い、1日に数千万回もの膨大な変更を繰り返す企業もある。日本でも特に宿泊施設、交通機関、テーマパークやコンサートなどのエンターテインメント領域で料金変動は当たり前になった。
「最適価格」を決定する上で、肝になるのが将来の需要予測だ。これを見誤って安くすれば利益が縮小し、高くすれば売れずに機会損失が生まれる。
しかし企業が各自で得意とする分野でも、予測は簡単ではない。時間帯や天候、キャンペーンの有無など複雑な要因が絡み合って消費行動が決まる。JR東日本が過去の乗車実績から新幹線の混雑を予測した実験でも、誤差は約15%あった。
一方でこの実験に参加し、誤差2%の高精度を記録したのがスタートアップのメトロエンジン(東京都港区)だ。AIによるダイナミックプライシング技術を企業に提供し、すでに300社が契約している。「違いは圧倒的にデータの差だ。(ある企業が)単独でその業界を予測するより、遥かに高い精度が出る」(田中良介社長)
自社で収集できる独自のビックデータを複合的に組み合わせ、サービスを提供する業界が増えるほど、予測精度が高まるアルゴリズムを築きつつある。事業の優位性や企業戦略について、田中社長に聞いた。