評価額72.5億ドルの営業支援SaaS「Gong」に見る次世代のITシステム
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)と呼ばれる領域が、にわかに注目を高めている。営業組織がより良い成果を出すための取り組みや、それを支援するツールを意味する。
分かりやすい例が米国のオンライン会議ツール「Zoom」だ。同社は今年4月、会話型AIを使って営業組織の成果向上を支援する「Zoom IQ for Sales」を正式にリリースした。機械学習によって商談内容を文字化したり、内容を分析して「営業IQ」の強化に役立てられるとする。
Zoomによる発表以前にも、セールスイネーブルメント領域は盛り上がりを見せてきた。代表プレイヤーの一つが、2015年に創業したベンチャー企業「Gong(ゴング)」だ。
Gongは昨年6月に2.5億ドルを調達し、評価額72.5億ドル(前年の3倍超)に達した。市況は変わったが、同様のソリューションによって営業組織の効率性を高められるという事実は変わるわけではない。
今回の記事では、セールスイネーブルメント領域で急成長を実現してきた「Gong」の創業ストーリーと戦略を紐解く。そこに見えるのは、新時代のアプリケーションがどう進化していくかという道筋である。