今回は、コロナ禍で追い風を受けている「イノベーション」という会社についてご紹介します。
イノベーションは2000年に創業した会社で、法人向けメディア『ITトレンド』やマーケティングオートメーションツール『List Finder』を運営しています。
足元の業績を見ると、売上高が+35.9%と成長が加速しており、20.2億円となりました。営業利益は1.8億円で前年比9倍に拡大し、営業利益率も大きく改善しています。
前回の通期業績予想時点で、「営業損益+200%超の増加」など大幅な成長が見込まれていましたが、実績はそれを大きく上回る結果となりました。
コロナ禍により市場に大きな変化が訪れたFY20。彼らが展開している事業は一体どんな内容なのか、決算資料をもとに整理します。
イノベーションが展開する事業テーマは、いわく「法人営業の新しいスタイルを創造すること」。
インターネットを活用して非効率な法人営業を効率化させることを目指し、各種サービスを展開しています。
具体的には、法人営業のプロセスを「認知」「見込み顧客情報入手」「見込み顧客育成」「提案・クロージング」「アップセル・クロスセル」の5領域と定義。
前半三つを「オンラインメディア事業」、後半二つを「セールスクラウド事業」という二つの事業部門でそれぞれ支援しています。
オンラインメディア事業では、勤怠管理システムや会計システムなどの法人向けIT製品の比較・資料請求サービス『ITトレンド』を展開。
会計ソフトでは「弥生会計」「勘定奉行クラウド」、給与計算システムなら「ジョブカン」「マネーフォワードクラウド」など。
人事や生産、販売、物流、顧客管理、データセンターに至るまで、あらゆるITサービスの資料請求を行うことができるサイトです。
ITサービスに限らず、より広範な法人向けサービスの比較・資料請求を行えるのが『BIZトレンド』。
社宅管理や経理、研修、メンタルヘルスなど、「人事・総務」に関連するアウトソーシングサービスを見つけることができます。
どちらも掲載すること自体の料金はかからず、問い合わせが発生するごとに料金を支払うと言う「成果報酬型」モデル。ITトレンドの場合、一件あたり1万円だそうです。
サイトへの集客は検索エンジンが中心となっており、利用するユーザー側は無料で利用でき、会員登録の必要もありません。
企業側の視点で考えれば、「1件1万円(ITトレンドの場合)」というのが事業構造的にペイするのであれば、出展することのマイナスがほとんどない媒体と言えそう。
続いて、イノベーションのもう一つの事業部門である「セールスクラウド事業」について。
ここでは、法人営業に特化したマーケティングオートメーションツールである『List Finder』、および関連するコンサルティングサービスを提供。
マーケティングオートメーションとは、(主にBtoB事業において)マーケティング活動におけるプロセスの自動化を行うシステムの総称。
見込み顧客情報の管理、顧客とのコミュニケーションや営業への引き渡しなど、決まり切った煩雑な業務を効率化するために使われます。
List Finderはメール配信(名刺交換やセミナー参加後の個人が対象)、自社サイトのアクセス解析、フォーム作成などの機能を搭載。
国産MAツールとしては「上場企業シェアNo.1」を豪語しており、イナリサーチや三菱電機システムサービス、東洋インキ、SBSロジコムなど渋い会社が導入先として名を連ねています。
利用料金は初期費用10万円+月額費用39,800円から。機能やPV数などによって月額料金が変わってくるというSaaSモデルです。
ここまでで、イノベーションが展開する事業のビジネスモデルについては理解することができました。
続いては、足元の動向について具体的な数値を確認しましょう。