タームシートを反故に?この1年ソフトバンク・ビジョン・ファンドに起こったこと
アメリカの新興ニュースメディア「Axios」が、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関するスクープを報じました。
記事によると、ソフトバンクは投資先候補であるスタートアップとの間でタームシートを取り交わし、その上で投資しないということを繰り返していると言うのです。
スタートアップ投資では、正式に投資契約を結ぶ前に、重要な条件を記載した「タームシート」で合意を交わすのが一般的です。正式な契約と違っても、これを守らないというのは評判(レピュテーション)に関わる行為。
ギリギリの状態で戦うスタートアップ経営者は、魅力的な調達が決まっていれば、他の資金調達活動をストップして事業に集中することもできます。
そうしたこともあり、ファンド側が一方的にタームシートを破棄するというのは、褒められた行動とは言えません。Axiosによると、ビジョン・ファンド2における資金集めが難航し、予定した投資ができなくなったんじゃないかとも。
確実なのは、こういう話題が出るほど、スタートアップ側がビジョン・ファンドからの出資に慎重になるということ。他のVCも今まで以上にビジョンファンドを警戒するでしょう。
つい1年前まで業界を驚嘆させていたソフトバンク・ビジョン・ファンド。2019年のWeWork問題前後から、雲行きが怪しくなりました。そこで今回は、ビジョンファンドの過去1年について振り返ってみたいと思います。
2019年を振り返ってみると、はじめに「様子がおかしい」と噂されたのは4月、「犬の散歩」スタートアップのWagが、大規模なレイオフを発表したタイミングです。