9連連続の増益を達成した「モーニングスター」(証券コード:4765)はSBIホールディングスの子会社として投資運用や投資信託のためのアプリ開発・販売をおこなっています。(2018年通期決算資料)
(モーニングスター沿革)
モーニングスターは1998年に設立。設立後わずか2年でヘラクレス(新興企業向けの有価証券市場)に上場しました。その後銀行や証券会社に投資の助言サービスを展開し、2012年に「SBIアセットマネジメント」を子会社化したことから、資産運用も本格的に開始しています。
まずはモーニングスターの事業内容から見ていきましょう。
モーニングスターは金融機関や事業法人に向けて、投資運用の助言やファンド分析ツール・ファンドレポートなど提供。また投資家や一般消費者に対してはセミナーの開催や株式新聞の提供、投資の運用などをおこなっています。
モーニングスターの取引先としては大手銀行や地銀、取引証券会社・運用会社などがあげられます。
2018年通期の売上は59.7億円(前年比:+24.6%)。また営業利益も着々と増益し16.4億円となりました。この成長を牽引する事業とは一体何なのでしょうか。
ここから先は、有料コンテンツになります。ご購読いただくと、以下のような内容をご覧いただくことができます。
・売上を牽引するのは〇〇事業
・投資資産は〇〇億円に増加
・減収する事業でも〇〇は好調
・時価総額は〇〇億円
売上の内訳を見てみると、投資運用による売上が32.4億円と前年から2倍ほど売上が増加しています。その一方、データソリューション事業とメディアソリューション事業の売上は縮小しています。
それでは急成長を遂げている投資運用の事業内容について見ていきます。
モーニングスターは投資信託販売会社(証券会社や銀行など)を通じて、投資家たちから資金を集めます。その資金を不動産・株式・債券などの各分野に投資。モーニングスターは投資管理費用(信託報酬)やリターンが出た場合はそのうちのいくらかを報酬(成功報酬)として受け取る仕組みとなっています。
次にモーニングスターが運用する投資資産を見ていきましょう。
投資資産は2018年に急激に増加し、3,273億円となりました。(前年比:+69.2%)
投資資産の増加により信託報酬も増加したことが売上増加の要因となっています。
また減収する事業の中でも売上を伸ばすサービスがあったので確認していきましょう。
データソリューションは2017年から2018年にかけて減収。
事業自体は減収中でもタブレットアプリは増収しています。そのタブレットアプリの内容を確認していきます。
投資信託INDEX(現在はWealth Advisorsに名称変更)は銀行、証券会社等の投資信託を販売する金融機関向けに提供 している資産運用アドバイスツールです。ファンドやマーケット情報に加え、ポートフォリオの作成まで行うことができます。
タブレットアプリの台数はこの1年で5.27万台に増加。また地方銀行をメインに開拓し、契約社数は127社に到達しました。1社あたり約415台使っている計算になります。
ここからはコスト構造を見ていきましょう。
売上原価は1年で8.6pt上昇し59.3%に。これは投資信託販売会社へ払う信託報酬が増加したことに起因します。一方人件費は1.4pt減少し6.0%となっています。
利益剰余金は毎年増加し、46.3億円に。自己資本率は94.2%と健全な財務構造となっています。
2014年に有価証券の売却によって現預金は65.7億円に増加。2017年からは投資有価証券が資産に含まれています。
営業CFは毎年プラスを維持し、9.5億円となりました。2014年には有価証券の売却により投資CFは増加、2017年には「MSクレジットリサーチ株式会社」の設立に伴い投資CFが減少しました。
時価総額は256.1億円。現預金を考慮した企業価値(EV)は192.6億円で、FCF6.1億円に対して31.6年分の評価となっています。
まとめ
・売上を牽引するのは投資運用事業
・投資資産は3,273億円に増加
・減収する事業でもタブレットアプリは好調
・時価総額は256.1億円