日本国内でもドコモやau、ソフトバンクなどのモバイル通信事業はとても収益性の高い事業ですが、中国や米国などの巨大な人口を有する市場ではどのくらいの規模になるのでしょうか。今回はチャイナモバイルについて調べてみます。
チャイナモバイルは1997年9月3日に香港で設立された会社です。
その後、同年の10月22日にはニューヨーク証券取引所、23日には香港証券取引所に上場。1998年の1月27日には香港ハンセン株価指数に採用されています。
中国国内31の州全てで通信サービスを提供し、世界最大のモバイルネットワークと世界最大のモバイル契約者数を有しているそうです。
2016年末時点で46万人の従業員と8億4900万人のモバイル契約者、7762万人のブロードバンド契約者という規模。
チャイナモバイルの最大株主はCMCC(チャイナモバイルコミュニケーションズコーポレーション)とのこと。
どう違うのかよくわかりませんが、NTTとNTTドコモみたいな関係なのだと推測します。
2016年末時点で(間接的に)およそ72.72%の株式を保有していたとのこと。
ホームページの図を見ると、こういう組織構造になってるそうです。
親会社のCMCCは上場しておらず、子会社のChina Mobile Limitedが上場企業になっています。
どうやら、CMCC自体も国有企業で、1997年に設立されたときにはChina Telecom名義であり、1999年に移動体通信事業が分割される形で今の組織になったようです。
さて、ここからは決算のプレゼンテーションスライドから事業進捗を見ていきます。
1. 売上高の成長率はここ5年間で最高
2. データトラフィックは急成長を続け、最大の収益源となった
3. 4G、ブロードバンド、企業顧客の増加、新しい事業により4つの成長要因を有している
5. 2016年の配当性向(株主に帰属する利益のうち、実際に配当された割合)は46%に増加
営業収益は7084億元(11.5兆円ほど)で前年+6%の増加。純利益(Net profit)が1087億元(1.8兆円弱)とのこと。
この間、ソフトバンクの決算報告で孫社長が「やっと実力で純利益1兆円に届いた(実際には1.5兆円ほど)」と言っていましたが、規模としてはそんなに遠くないですね。
ただ、スプリントを抱えたソフトバンクよりも中国だけで事業を行うチャイナモバイルの方が大きい、とも言えます。
これは2020年までの中期経営計画です。
ビジョン:革新的なデジタルサービスをグローバルにリードする事業者になる
目標:世界の一流の事業者の平均を超える売上成長と、接続の規模を二倍にする
戦略:接続の拡大を加速、接続サービスを改善、接続アプリケーションを強化
前述の通り、チャイナモバイルは1997年設立(&上場)なので2017年は上場20周年ということになります。その中で、
顧客数:200万人から8億5000万人
ベース・ステーションの数:3000から300万
週をまたいだネットワーク帯域:ゼロから280テラバイト/秒
売上高:104億元から7000億元以上
利益:45億元から1000億元以上
時価総額は1200億香港ドルから1兆7000億香港ドル(24兆円ほど)
にまで成長した。
チャイナ・モバイルがこの20年でどんな成長を遂げたのかをKPIからみてみます。
まずは契約者数です。
2014年までに8億人にまで増大し、その後は成長が鈍化しています。
次に、通話時間です。
2012年までに4兆分に達し、2013年以降は成長が止まっています。
4兆分とか言われてもイメージが湧かないので、ユーザーあたりでみてみます。
ユーザー一人が1ヶ月の通話時間の推移です。
2010年から2012年までは500分に達していますが、その後は400分程度にまで減少していますね。
次に、データ通信量の推移です。
これも単位が「10兆メガバイト」となっており全くイメージが湧きませんが、ものすごいスピードで増大していることはわかります。
こちらもユーザーあたりで見てみましょう。
4Gは2014年の時点から800メガバイト近くとかなりの水準です。
ユーザー全体だとようやく700メガバイトに達しようという感じ。
こうしてみると少ないですね。僕が今朝みたユーチューブ動画だけで1Gバイトはゆうに超えています。
次に、ARPU(ユーザー一人当たりの収益)です。
見事な右肩さがりですね。
当初の221元から現在は57.5元(943円)にまで大きく値下がりしています。
通信量は増大しているのに、それにかかるコストはどんどん下がっているということだと思います。
最後に、月間解約率(チャーン・レート)も。
当初はとても低かったのが、2009年から2014年までは3%ちょっとの水準だったようです。
近年は再び2.5ドル前後の水準まで下がっています。