前回、Appleの直近四半期の決算データを軽くまとめましたが、今回は1年間のデータをまとめます。
まずは売上と利益です。
2015年がAppleにとって史上最高の2337億ドルの売上となり、2016年には売上が2156億ドルと少し減少。今期は2292億ドルと、前年度よりも少し多い水準となりました。
次に、売上高の内訳をみていきます。まずは地域ごとの売上です。
アメリカ(Americas)の売上は966億ドルと、最も大きくなっています。
ヨーロッパは549億ドル、中華圏が447億ドル、日本は177億ドルです。この4地域がAppleにとって最大のマーケットとなっています。
パーセンテージでもみてみます。
アメリカの売上比率は40%から42%へと増加しています。ヨーロッパも21.5%から24%、日本も6.7%から7.7%へと大きくなっています。
一方、中華圏(Greater China)の比率は25%から19.5%へとかなり小さくなっています。
続いて、製品・サービスごとの売上です。
iPhoneの売上が1413億ドルと圧倒的です。iPhoneだけで15兆円くらいの売上があると思うとものすごいですね。
iPadは192億ドル、Macは258億ドル、iTunesなどのサービス売上は300億ドル、その他が128億ドルとなっています。
パーセンテージでもみてみます。
iPhoneの売上比率は66.3%から61.7%へと現象しています。iPadも9.9%から8.4%へと減少。
その一方でMacが10.9%から11.3%、サービス売上が8.5%から13%へと増大しています。
製品の販売台数もみてみます。
iPhoneは2億台ちょっとの水準をキープしています。
iPadは2015年には5485万台売れていたのが、4375万台にまで減少しています。この要員として、画面の大きいiPhone”プラス”がでたことは大きそうな気がします。
Macの販売台数は2058万台から1925万台と、減少しています。
販売台数が軒並み減っているのに、売上がそうでもないということは、やはり平均単価が上がったのでしょう。ちょっと計算してみます。
iPhoneは671ドルから652ドルとむしろ減少していますが、iPadは423ドルから439ドル、Macは1237ドルから1343ドルと増大しています。
ここまでがAppleの3年間の収益の分析でした。次は、費用について調べてみます。
売上原価が1400億ドル前後とコストとしては圧倒的です。研究開発費は80億ドルから116億ドル、販売管理費は143億ドルから152億ドルに増加しています。
税金(Provision for income taxes)は157億ドルほど。
対売上の費用比率もみてみます。
売上原価率(Cost of sales)は60%から61.5%、研究開発費は3.5%から5%、販管費は6.1%から6.7%へと軒並み増加傾向です。
Provision for income taxesは8.2%から6.9%と、減少しています。
続いて資産の内訳です。
総資産3753億ドルに対して長期投資(Long-term securities)が1947億ドルと、かなりの割合を占めています。
その次に大きいのは有形固定資産(Property, plant and equipment)ですが、338億ドルほどで、前年の270億ドルから増加しています。
比率でもみてみます。
総資産のうち、実に52%ほどが長期投資(Long-term marketable securities)となっています。
また、短期投資(Short-term marketable securities)も14%と大きく、Appleが資産のほとんどを証券投資に回していることがわかります。
Appleは莫大な資産をどのようにして調達してきたのでしょうか。負債と自己資本の部をみてみます。
利益剰余金(Retained earnings)が983億ドルと大きいですが、長期借入金(Long-term debt)も972億ドルとかなり大きくなっています。
こちらも、総資産に対する比率でみてみます。
利益剰余金が総資産に対して26%、長期借入金が25.9%となっています。
最後に、3年間のキャッシュフローの状況をチェックします。
2015年9月期には怒涛の698億ドルものフリー・キャッシュフローを生み出していましたが、2017年9月期には508億ドルとなっています。
安定して500億ドル以上のフリー・キャッシュフローを生み出している企業はApple以外に存在しません。
その結果、Appleの株価は上がり続けています。
Appleのフリーキャッシュフロー倍率は17.5倍ですから、今の時価総額で買ったとしても18年で”元が取れる”ことになります。
ただ、Appleは18年間も今以上のフリー・キャッシュフローを生み続けることができるのでしょうか。
来期はiPhone XによってAppleの業績はまた違ったものになると予想されます。今後もどうなっていくか、とても楽しみですね。