運用資産9,644億円!『ひふみ投信』を運用・販売する「レオス・キャピタルワークス」が新規上場

資産運用会社「レオス・キャピタルワークス」(証券コード:7330)のマザーズ上場が承認されました。
(上場申請資料)
レオスは今年10周年を迎えた『ひふみ投信』の運用・販売等でも有名です。
レオス創業メンバーの1人で、現在代表取締役社長を務めるのは藤野英人氏です。
藤野氏は1990年に早稲田大学法学部を卒業後、「野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)」に入社。
その後、「ジャーディン・フレミング投信・投資顧問」(ジャーディン・マセソン系列)や「ゴールドマン・サックス・アセットマネジメント」でファンドマネージャーとしてキャリアを積み重ねます。
そして2003年、湯浅光裕氏と五十嵐毅氏の3名でレオス・キャピタルワークスを設立しました。
「レオス」は古代ギリシャ語で「流れ」を意味しており、日本にある人財・資本・知恵・技術などたくさんの資産(キャピタル)の「流れ」を作る工房「ワークス」でありたいという想いが込められているといいます。
2008年にレオスが顧客へ直接販売する"直販投信"である『ひふみ投信』の運用・販売を開始。
販売開始から2年で『ひふみ投信』純資産総額が10億円を突破します。
2012年に姉妹ファンド『ひふみプラス』を、2016年からは確定拠出年金(DC)専用投資信託 『ひふみ年金』の運用を開始しました。
2017年8月には『ひふみ投信』が5万口座を突破し、現在の運用資産残高は9,644億円。
日本を代表する資産運用会社の1つとなっています。
2018年3月期に売上高が急増しており、38.5億円と前年の約3倍に増加しました。
19/3上半期はすでに32.0億円を売り上げています。
経常利益率も右肩上がりに上昇しており、19/3上半期は33.0%まで収益性が向上しています。
ひふみ投信の事業は大きく「投資信託委託(自社投信)業務」と「投資顧問業務」に分かれます。
投資信託委託業務では『ひふみ投信』をはじめとする自社で組成した投資信託に顧客から投資を募り、国内外株式の運用を行ないます。
投資顧問業務では顧客企業投資一任契約を結んで資産運用を代行し、投資顧問料と運用成績に応じた成功報酬を受け取ります。
投資信託委託業務では投資信託を組成して信託銀行に運用指図を行なうのに対し、投資顧問業務では顧客の代わりに投資売買を行なうという違いがあります。
レオスが自社で販売する投資信託はメイン商品が3つあります。
業界でも数少ない直販モデルの『ひふみ投信』、販売会社を通じて資金を募る『ひふみプラス』、そして確定拠出年金(DC)専用投資信託である『ひふみ年金』です。
3つの投資信託は同じマザーファンド(ひふみ投信マザーファンド)を通じて運用を行なっており、投資方針や投資銘柄は全く同じとなる仕組みとなっています。
レオスは買付手数料や資産運用の業務委託料にあたる「信託報酬料」を受け取ることで収益をあげており、『ひふみ投信』と『ひふみプラス』は顧客の資産状況に応じて信託報酬率が変動します。
『ひふみ投信』
直販モデルである『ひふみ投信』は保有期間が長い顧客に対して信託報酬を還元しており、保有期間が5年〜10年の場合は信託報酬率が実質0.8584%に、10年を超える場合は0.6584%となります。
『ひふみプラス』
運用資産残高の内訳を見てみると、『ひふみプラス』の運用資産が急増しています。
17/3期末から18/3期末にかけて1年間で『ひふみプラス』の資産は4倍以上に急増し、5,728億円にのぼっています。
『ひふみ投信』も1,355億円と約3倍に増加。
『ひふみ年金』を合わせた「ひふみ投信マザーファンド」の運用資産は18/3期末は7,207億円、2018年9月末時点では8,317億円に増加しています。
レオスは『ひふみプラス』と『ひふみ投信』の販売が急増した要因としてテレビ東京の経済番組『カンブリア宮殿』への出演を挙げています。
(カンブリア宮殿)
2017年2月16日の放送内容が評判となり、『ひふみプラス』を取り扱うパートナー企業が増加。
また、直販モデルである『ひふみ投信』も数多くの顧客を獲得することに成功したといいます。
運用資産の拡大によって信託報酬が大幅に増加したことがレオスの急成長に直結しました。
『ひふみ投信』『ひふみプラス』『ひふみ年金』の資産を運用する「ひふみ投信マザーファンド」の最新運用状況(2018年11月7日時点)を確認してみます。
「ひふみ投信マザーファンド」は11月7日時点で純資産総額が7,402.6億円、組み入れ銘柄数は234銘柄です。
国内株式が85.4%を占めており、東証一部の株式が運用資産全体の80.7%にあたります。
投資先の時価総額別に見てみると、時価総額3,000億円以上の大型株が40.7%、最も比率が高いのは300億円以上3,000億円未満の中型株です。
業種別の比率ではサービス業が14.2%、情報・通信業で13.4%となっており、TOP2業種で全体の4分の1以上を占めています。
組入銘柄のTOP10が紹介されており、1位は「協和エクシオ」で組入比率2.1%となっています。
海外株で最も比率が高いのはマイクロソフトで1.5%ほど。
2018年7月31日時点ではアマゾンが2.1%でトップでしたが、現在はランク外となっています。
レオスのコスト構造は売上規模の拡大に伴って大幅に改善しており、給与等を含む一般管理費が25.8%となっています。
一方、『ひふみプラス』の販売が増加したことによって支払手数料が36.0%に上昇しました。
バランスシートも確認していきます。
総資産48.8億円のうち現預金は7.7億円と16%ほど。
売掛金に近い未収委託者報酬が32.0億円と最も大きくなっています。
資産の調達原資として最も大きいのは利益剰余金で、17.3億円まで積み上がっています。
営業キャッシュフローは右肩上がりに増加しており、19/3上半期で前年を上回る5.5億円を稼ぎ出しています。
上半期時点のフリーキャッシュフローは5.1億円のプラスで、このペースでいくと年間で10億円を超える勢いとなっています。