売上成長率は驚異の201%!『マンガBANG!』を運営するAmaziaが新規上場

2018年11月14日に「Amazia」(証券コード:4424)が上場承認を受けました。
(マンガBANG!)
Amaziaはマンガアプリ『マンガBANG!』を運営しています。
今回は新規上場したAmaziaについてまとめていきたいと思います。
Amaziaは、現在の代表取締役である佐久間亮輔氏によって創業。
佐久間氏は上智大学を卒業後、2001年にベンチャーキャピタルのJAFCOに入社。
JAFCOの投資部に所属し、多数のベンチャー企業投資を担当していました。
その後サイバーエージェントモバイルの戦略投資室長や子会社のイデアコミュニケーションの社長を歴任。
そして2009年に佐久間氏は「世界にチャレンジするインターネットサービスを創る」という経営理念のもとAmaziaを創業。
2010年にはクーポンサイト「GroupMall」を、2014年にはフリーミアム型マンガアプリ「マンガBANG!」を開始します。
そして無料マンガ投稿サービス「マンガEpic!」を2017年に開始。
2018年12月20日に東証マザーズに新規上場予定となっています。
(App Annie公表2017年日本の非ゲーム収益ランキングに「マンガBANG!」が24位にランクイン)
現在Amaziaが運営している「マンガBANG!」のダウンロード数は700万を突破し、日本の非ゲーム収益ランキングで24位にランクインしています。
それではAmaziaの売上推移から見てみましょう。
2013年は7,000万円ほどだった売上は、2017年には11.7億円にまで成長しています。
2015年以降、経常利益はマイナスとなっており、2017年の経常利益はマイナス0.27億円になっています。
2014年には42%だった売上成長率は年々加速しており、2017年は201%に達しています。
急速に売上を拡大しているAmaziaですが、一体どのようなマンガアプリを運営しているのでしょうか。
Amaziaは大きく分けて2つの漫画アプリを提供しており、1つ目が『マンガBANG!』です。
(Amazia)
『マンガBANG!』は国内最大級のマンガアプリとなっており、新作から名作まで様々なジャンルの作品が取り揃えられています。
『マンガBANG!』には無料コーナーと有料コーナーがあります。
無料コーナーでは毎日7時と19時に4つのメダルがユーザーに付与されます。
メダル1枚につき1話読むことができ、足りなかった場合はメダルを購入するか、もしくは広告アプリをダウンロードすることによってメダルをゲットすることができます。
一方、有料コーナーでは様々なジャンルの漫画を購入することができ、私の大好きな『NARUTO』も販売されていました。
それでは『マンガBANG!』の収益モデルを見ていきます。
『マンガBANG!』の収益モデルは「レンタル+広告モデル」と「購入モデル」の2つに分かれます。
①レンタル+広告モデル
レンタルでは30円ほどで1話を読むことができますが、漫画のレンタル期限は1週間ほどとなっています。
さらに無料作品にはアプリ内で広告が表示され、ユーザーがアプリ内で配信された広告経由で広告品を購入すると企業からAmaziaに広告料が支払われます。
②購入モデル
購入モデルでは、電子書籍(漫画)を1巻単位で販売しており、ユーザーは無期限で漫画を読むことができます。
この購入モデルは、従来の販売モデルと同じであるため、出版社等にとって一番受け入れやすいモデルとなっており、最も多く有名作品を取り揃えることができるとのこと。
Amaziaが提供している2つ目の主要サービスが『マンガEpic!』です。
(Amazia)
近年マンガ雑誌が売れなくなり廃刊となることで、マンガ家のデビューの場が縮小していました。
『マンガEpic!』はマンガ家のデビューの場を増やすために開始されました。
『マンガEpic!』は無料で利用できるマンガアプリで、収益モデルは広告のみとなっています。
さらに『マンガEpic!』で人気を博した漫画は、Amaziaが運営する『マンガBANG!』で漫画家デビューすることも可能とのこと。
『マンガBANG!』の配信費用は少額であるため、一般的な出版に比べてリスクが低く、比較的早めにデビューすることが可能になるようです。
今後も引き続きメインサービス『マンガBANG!』との連携を強化していき、将来的には、『マンガEpic!』で人気を博したマンガのグッズ・映画化などに力を入れていくとのこと。
それでは一体どのサービスがAmaziaの売上成長を支えているのでしょうか。
アプリユーザー数の増加
2014年のサービス開始以来、『マンガBANG!』のアプリ累計ユーザー数は急速に増加しており、2018年3Qのアプリユーザー数は707万人となっています。
顧客単価が増加
ユーザ1人あたりの売上(ARPU)をみてみると、2015年には93円だったARPUが2017年には2倍以上の213円にまで上昇しています。
Amaziaの売上が増加したのは要因としてはアプリユーザー数の増加と顧客単価の増加が考えられます。
それではAmaziaのコスト構造・財政状態について見ていきます。
原価率は年々減少傾向にあり、2018年3Qには65.7%にまで改善しています。
販管費の中でもっとも大きな割合を占めるのが広告宣伝費で、売上の23.3%を占めています。
続いて財政状態について見ていきます。
まずは資産から。
総資産4.5億円のうち、現預金が1.87億円と全体の41%を占めています。
そのほか、売掛金が2.21億円と大きな割合を占めています。
続いて負債・純資産を見ていきます。
負債・純資産の中でもっとも大きな割合を占めるのが資本金・資本剰余金で3.19億円ほどあります。
利益剰余金はマイナス0.93億円ほど積み上がっています。
最後にキャッシュフローを見てみます。
2016年の営業キャッシュフローが0.1億円だったのに対し、2017年はマイナス0.32億円となっています。
今後国内の電子コミック市場はどうなっていくのでしょうか。
2011年には629億円だった電子書籍の国内市場規模は、2022年には3,150億円にまで拡大する見込みとなっています。
国内の電子書籍市場は今後さらに拡大していくようです。
さらに電子書籍市場規模のうち、電子コミックの売上は1,845億円となっており、電子書籍市場全体の82.3%を占めています。
一方、文字もの(文芸・実用書・写真集など)の割合は全体の17.7%ほどしか占めていません。
そして無料漫画アプリの広告市場規模も拡大しています。
2014年には14億円だった市場規模が、2018年には120億円になるとのこと。
最後に国内のマンガアプリの状況を見ていきます。
2018年4月時点でLINEマンガが2,000万ダウンロードと国内で圧倒的なシェアを誇っています。
それに対し、Amaziaの『マンガBANG!』は707万ダウンロードとLINEマンガに大きく差をつけられています。
今後LINEマンガとの差をどのように縮めていくかが成長への鍵になっていきそうです。
・参照