今回は、中国のインターネット企業「Sina Corporation」について調べます。
1999年、「Beijing SINA Information Technology Co., Ltd」とカリフォルニアにあった企業「SINANET.com」の2つが合併することによって設立。
2000年4月にはナスダックに上場しており、中国のインターネット企業としてはかなり早い時期にIPOを果たしています。
2005年以降の業績推移を見てみます。
爆発的な成長とはいかないものの、着実な売上成長を続け、2016年には10.3億ドルの売上をあげています。
営業利益率は2010年までは10%以上と比較的高い水準にありましたが、その後はたびたび営業赤字に陥っています。
「中国版Twitter」として数多くのユーザーを抱えるWeiboも傘下におくSina社ですが、その事業の内訳はどのようになっているのでしょうか?
それを見ていきたいと思います。
Sina Corporationの事業は大きく三つあり、「ポータルサイト」「Weibo」「それ以外」の3つから成り立っています。
具体的なサービスとしては「SINA.com」「SINA mobile」「Weibo」の3つが代表格。
Weiboは「中国版Twitter」とも言われるソーシャルネットワーキングサービスです。
それぞれの売上は次のようになっています。
今や既存のポータルサイトの売上は減少傾向で、Weiboの売上が多くを占めていることがわかります。
資産の内訳です。
総資産43億ドルに対して、現金同等物が14億ドル、短期投資が3.9億ドル、長期投資が13億ドルほど。比較的キャッシュは潤沢です。
資産の調達元である負債と自己資本の推移です。
負債の合計は12億ドル弱。過去の経緯を見ると、転換社債(Convertible debt)で調達することが多かったようです。
資本剰余金(Additional paid-in capital)が26億ドルと多くを占めています。
キャッシュフローです。
営業キャッシュフローは2016年に4.4億ドル。売上規模が10億ドル程度であることを考えると決して悪くありません。
2015年まではかなりの金額を投資活動にあててきたことがわかります。
フリーキャッシュフローです。
2014年まではほとんどゼロに近いレベルでした。ここ2年は大きく増えています。
少し企業価値について計算してみましょう。
株式時価総額は71.74億ドル。
転換社債が1.5億ドル、現金同等物は短期投資と合わせて17.9億ドル。ネット有利子負債はマイナス16.4億ドルとなります。
以上から、SINA CorpのEV(Enterprise Value)は55.34億ドル。
2016年のフリーキャッシュフローが4億ドルですから、EV/FCF倍率は13.8倍となります。
いかがでしたでしょうか。
残念ながらSina Corporation本体のメディア事業は売上が減少しています。
中国インターネット業界という市場環境自体はとても良いはずなので、SINA.comなどのポータルサイト自体のトラクションが衰えているようです。
一方で、グループ企業のWeiboはかなり好調で、巨大なサービスとなっています。こっちを調べた方が良さそうですね。
しかし、Sina CorporationがWeiboというプロダクトを生み出したこと自体は事実であり、その母体企業について調べたことも決して無駄ではなかったと思います。