今回はアメリカでフィギュアなどを販売する「Funko」(ティッカーシンボル:FNKO)についてまとめていきたいと思います。
(Funko)
Funkoは、Mike Becker氏によって1998年に創業されました。
創業者のMike Becker氏は、他の玩具店がハイテクなおもちゃを販売する中、あえてローテクかつ顧客に懐かしさを感じさせるようなおもちゃを販売する戦略をとりました。
そしてFunkoは、アメリカの大手ファストフード店「Big Boy」のフィギュアを発売開始します。
2005年に創業者のMike Becker氏は、友人であり現在のCEOであるBrian Mariotti氏にFunkoを売却。
2015年、引き継いだMariotti氏がマーベルと契約を結ぶことに成功し、おもちゃのサブスクリプション「subscription box」を開始します。
そして2017年11月にナスダック市場に株式を上場。
Funkoは、現在メジャーで活躍している大谷翔平選手のボブルヘッド(首振り人形)も販売しています。
それではFunkoの売上推移を見ていきましょう。
2012年の売上が2.74億ドルほどだったのに対し、2017年は5.16億ドルほどにまで増加しています。 そして2018年上半期の売上は、前年比35%増加の2.76億ドルとなっています。
営業利益は毎年プラスとなっており、2017年は4,215万ドルの営業利益を稼ぎだしています。
2018年上半期の営業利益は1,628万ドルほどとなっています。
2017年の営業利益率は8.1%となっています。
売上を堅調に拡大するFunkoは、一体どのような事業を展開しているのでしょうか。
Funkoは合計130社もの企業とライセンス契約を結んでいます。
その中にはNetflixやマーベルなどの配信事業会社や出版会社から、MLB(メジャーリーグ)やNBA(アメリカプロバスケットボール)などのスポーツリーグも名を連ねています。
なかにはハローキティで有名な日本企業「サンリオ」がFunkoとライセンス契約を結んでいます。
ビジネスモデル
Funkoはライセンス契約を結んだ企業のフィギュアを製作・販売する代わりに、売上の15%ほどをライセンス料として企業に支払います。
Funkoの事業内容は主に「フィギュア」の製作・販売です。
製造工程
Funkoのフィギュアは通常70日間ほどで製作されます。
まず24時間でデザインを完成させ、45日間でプロトタイプを作成。
そして次の15日間でライセンス契約を結んでいる企業からフィギュア製作・販売の許可を獲得。
最後の15日間でアジア拠点とする工場でフィギュアが製作され、商品が棚に並びます。
フィギュアの製作はコスト削減のため、中国やメキシコ、ベトナムなどの企業に外注しています。
(Funko)
Funkoは、スポーツ選手やアニメキャラクターのボブルヘッドをはじめとする様々なフィギュア商品を販売しています。
フィギュアの価格は10ドルから15ドルほどとなっています。
さらにFunkoはゲームを活用したフィギュアの販売もおこなっています。
Funkoのゲームは2種類あり、ゲームの下にはゲームに登場したキャラクターのフィギュア購入ボタンが設置されており、ゲームを通してキャラクターのフィギュアを購入してもらう狙いがあるようです。
そしてFunkoは、サブスクリプション形式でのフィギュアの販売も手がけています。
フィギュアの種類はディズニー、DC、マーベル、スターウォーズなどがあり、ダンボールいっぱいに詰められたフィギュアやTシャツが2か月おきに配送されてくるとのこと。
Funkoが販売する数多くのフィギュアの中で、どのキャラクターのフィギュアが売れているのでしょうか。
スターウォーズやディズニーなどの名作フィギュア(Evergreen)の売上の割合が、全体の売上の45%を占めています。
テレビコンテンツに関するフィギュアの売上も18%と大きい割合を占めており、Netflixの独自コンテンツである「ストレンジャーシングス」「ゲームオブスローンズ」などのフィギュアも売れています。
スターウォーズなどの昔ながらのフィギュアが売れているFunkoですが、顧客層はどうなっているでしょうか。
Funkoの顧客平均年齢は35歳で、購入者は男性よりも女性の割合が多いとのこと。
フィギュアは男性や子供が好きな印象がありますが、実際は大人の方が購入しているようです。
さらにFunkoは熱狂的なファンやマニアによって支えられています。
顧客の割合を見ると、熱狂的なファンとコレクターの割合が全体の69%にのぼるとのこと。
たまにしか買わない顧客の割合は31%ほどしかありません。
それだけFunkoは熱狂的なファンに支えられているということです。
2017年のフィギュアの売上は4.2億ドルと全体の81.8%を占めており、売上のほとんどがフィギュアとなっています。
アクセサリーなどを販売するその他も2015年から売上を拡大しており、2017年には全体売上の19%を占めるほどにまで拡大しています。
地域別の売上も見てみましょう。
地域別の売上を見てみるとアメリカでの売上が3.7億ドルと、全体の売上の72%ほどを占めています。
アメリカでの売上が伸びる一方、ヨーロッパでの売上も前年比の89%ほど増加。
2017年のヨーロッパの売上は1.4億ドルまで拡大しています。
ヨーロッパの売上成長の要因には何が寄与したのでしょうか。
Underground Toys社の買収
ヨーロッパでの売上成長の要因としてイギリスに拠点を置くUnderground Toys社の買収があげられます。
(Funko Announces Acquisition of Underground Toys Limited)
Underground Toys社は2011年におもちゃメーカーとしてロンドンで創業されました。
当社はトイザラスなどの玩具小売店にネットワークを保持しており、FunkoがUnderground Toys社を買収した目的としてはヨーロッパの玩具小売店への販路拡大があげられます。
それではFunkoのコスト構造を見ていきます。
売上原価率は改善傾向にあり、2017年は61.5%となっています。
一方、販管費率は23.4%に上昇しました。
続いて財政状態をチェックします。
総資産が5.9億ドルほどあるのに対し、現金同等物は1,000万ドルほどとなっています。
商標権などを含む無形固定資産が2.4億ドルと大きな割合を占めています。
負債・純資産を見てみると有利子負債が1.98億ドルほどあり、払込資本が1.32億ドルほどあります。
キャッシュフローを見てましょう。
営業キャッシュフローは毎年プラスとなっており、2017年は2,300万ドルほど稼ぎだしています。
2018年のフリーキャッシュフローはマイナス973万ドルとなっています。
株価は上昇傾向にあり、時価総額は4.31億ドルとなっています。
時価総額は4.31億ドルからキャッシュ1,000万ドルを差し引くと、企業価値(EV)は4.21億ドルほどとなります。
2017年の営業利益が4,000万ドルほどなので、営業利益のおよそ10倍ほどの評価を受けていることになります。
最後にFunkoの今後の展望を見ていきます。
Funkoは今後の戦略として販売チャネルの拡大を図っています。
GameStopなどの既存ゲーム用品チェーンやAmazonなどのEコマースをフルに活用し、多くの顧客を獲得していく方針です。
さらにおもちゃは幅広い世代で需要があります。
ディズニーの最初の作品である白雪姫は1937年に公開されました。
その当時、白雪姫を見ていた10歳の子供(仮定)は、現在91歳になっていることになります。
Funkoは世代間のニーズを捉え、子供から高齢者まで様々な世代へ対応していくとのこと。
アメリカのおもちゃの市場規模をチェックしてみましょう、
アメリカのおもちゃ市場(2015年時点)は世界でもっとも大きく、255億ドルほど。
2位の中国に約2.6倍の差をつけています。
巨大な市場規模を有するアメリカを拠点とするFunkoは、今後さらなる成長が期待されます。
最後にFunkoが掲げる2018年の売上目標と進捗状況を確認します。
2018年の業績目標5.53億ドルに対し、上半期時点の売上は2.76億ドル。
進捗率は49.8%で比較的順調といえる状況です。
今回はアメリカでフィギュアを販売するFunkoについてまとめていきました。
Funkoがこれからどのようにして世界中のマニアたちを魅了し続けていくのか注目して見ていきたいと思います。
・参照