変革を進めるコカコーラ社の事業戦略まとめ
コカコーラ・カンパニー

米国コカコーラ社のIRを見ていて、面白そうな資料を見つけた。

Investor Overview April 2017

2017年4月の投資家向け戦略説明資料のようだ。

コカコーラ社は今、変革の最中らしい。

・消費者中心のブランドポートフォリオを加速

・砂糖の使用量を削減

・トップラインの成長を促し、営業利益率を拡大(セグメント売上の成長戦略、配送の生産性、新しい営業モデルの実装)

・強力なパートナーたちとの協業システムをリード

などを挙げているが、どういう背景で変革を推し進めているのだろうか。資料を読み進めてまとめてみよう。

コカコーラ社の現状と取り組んでいること

スライドの下にコカコーラ社のブランドがいっぱい並んでいる。「綾鷹」「ジョージア」「トロピカーナ」「いろはす」などもコカコーラブランドなんだな。

コカコーラ社はノンアルコール飲料業界におけるトップ企業であり、売上高は420億ドルに達し、200以上の市場で500以上のブランドを提供している。

清涼飲料水というと、すでにある程度成熟した市場だと思われるが、今でも年平均で4%ずつ市場が成長しているとのこと。

右のグラフにあるSSDというのは「Suger sweetened drink」のことで、コーラなどの炭酸飲料がここに含まれる。

コカコーラ社はすでに強大な企業体であるが、2014年から変革を推進しているらしい。その中で、

・核となるビジネスモデルに集中する

・スリムでシンプルにする

・積極的な生産性により効率化を推進(訳が下手すぎる)

・マーケットにおけるポジショニングにより売上に集中(よくわからん)

・ブランドを磨き上げ、成長に投資する

という5つのアクションを掲げている。

それにより、組織的なキャパシティ、ブランド、ポートフォリオ、ボトリング・システム、コストの削減、マーケティングなどの活動を再度活性化しているとのこと。

これらのアクションにより、市場環境(PCE)と比較して高いコアビジネスでの売上を実現しているとのこと。PCEというのはPersonal Consumption Expenditure(個人消費支出)の略で、米国経済において消費者がどのくらいものを買っているかを示す指標らしい。

ここ数年、株価も上がっているし景気いいじゃんと思ってたけど、米国では消費低迷してたんだな。


その結果、全体の売上高は3%、コアビジネスの売上高は4%、利益は8%増加したとのこと。成熟した巨大産業で1割近く利益増やすのって大変だろうな。。

このスライドは正直よくわからん。。為替のマイナス影響があったけどそれでも利益増やしたってことかな?

コカコーラ社の今後

コカコーラ社は消費者中心のブランドをもち、それを普及させて得られる価値を企業、中間業社、顧客などで共有し、さらなるシステム投資につないでブランド価値を高める、という明確な価値創造のモデルを有している。

しかし、自然環境、砂糖、機能性などの問題やデジタル化、パートナー企業の変化や社会的承認の重要性の向上など、環境は変わってきており、それに対応するためのアクションをとる必要に迫られているという。

2017年の重点戦略としては、「消費者中心にブランド・ポートフォリオの成長を加速すること」「売上高を増大すること」「システムを強化すること」「企業体をデジタル化すること」「社員のパワーを引き出すこと」の5つらしい。

ポートフォリオの成長は「ローカルでの革新」「グローバルでの拡大」「M&Aの推進」の3つにより達成する。

砂糖の削減のため「無糖ブランドへの注力」「砂糖を減らすための商品改良」「小さいパックを推進」「セレクト・シングル・サーブ・パックの大きさを小さくする(よくわからん)」「低糖・無糖ドリンクへのポートフォリオ拡大を加速」の5つの戦略をとるらしい。

売上を拡大するために、マーケットをセグメントに分けて取り組むとのこと。中国市場をかなり重視していることがわかる。

フランチャイズ体制も大きく変えていくらしい。2017年にはほとんどが終わるそうだが、各地でのボトリング業社の合併や拡大を行なっているようだ。

体制変革が完了すると、サプライチェーン全体に占めるコカコーラ社の割合はかなり小さくなり、各地のボトリング業者が97%を占めることになる。

また、コカコーラ社員は2016年時点の10万人から3.9万人にまで削減。本体を分離してボトラーとして独立させるということのようだ。

これらの戦略により、売上のトップライン拡大と利益率の向上を両立させよう、という戦略のようだ。


まとめ

・コカコーラ社は環境の変化に対応しつつ売上拡大と収益性を向上させなくてはならない

・環境の変化にはコーポレート・レスボンシビリティの重要化(砂糖の削減など)やデジタル環境の加速などが挙げられている

・そのために、コカコーラ社では商品ポートフォリオや組織体制の変革を推し進めている

・商品ポートフォリオの成長は商品開発やグローバル化推進、M&Aを活用。中でも砂糖を削減した商品の強化やパッケージの小型化に取り組む

・組織体制の変化ではコカコーラ本体の人員を大幅にスリム化し、サプライチェーン全体におけるボトリング業者の割合を85%から97%にまで増大する

・それにより、コスト削減と営業の効率化、売上と収益性の向上を両立させることを目指す