小売企業の営業利益率ランキングをみていて、あまり見慣れない会社を見つけたので調べてみたいと思います。
その会社とは「アールビバン」。
(アールビバン)
なにやら、アートに関する事業を展開しているようです。
まずは会社の歴史からチェックしていきましょう。
アールビバンの創業者は1953年生まれの野澤克巳氏という人物。
26歳のとき、それまでお世話になっていた先輩が絵画の仕事を始め、ギャラリーを作ってオープニングに呼ばれました。
ギャラリーを訪れた野澤氏はチンプンカンプンだったそうですが、呼ばれたということは「買え」ということだと解釈して一枚の絵を購入しました。
ところが、それを部屋に持ち帰って壁に飾ったところ、部屋の印象・空気感がガラッと変わってしまうことに気づき、それに驚きました。
そこから絵の世界に魅せられた野澤氏は、1984年に「アールビバン」を創立。
社名のART VIVANT(アールビバン)はフランス語で、「絵のある暮らし」を意味する言葉です。
絵画の世界では、高額でコレクターが限られる油絵などの原画が中心の市場です。
そんな中で野澤氏は、多くの人にとって手がとどく価格で生産することができる「版画」にターゲットを絞ります。
1989年、アメリカのアーティスト、クリスチャン・ラッセンと販売契約を結びました。
当時、アールビバンは全国でアートイベントを展開しはじめており、ラッセンブルーと呼ばれる独自の絵画を展開することで日本全国でファンが増加。
(ラッセン 作品集)
自分は寡聞にして知りませんでしたが、ラッセンといえばバブル期の日本で大ヒットした画家だそう。
ラッセンの成功を契機とし、アールビバンは全国的に直営常設店のネットワークを展開します。
1992年には東京ディズニーランド10周年記念作品に際し、メラニー・テイラー・ケントのディズニーコラボ作品の日本における独占販売を結びます。
日本ではほとんど無名のアーティストと契約を結び、大規模なプロモーションを行なって人気を高め、版画を生産して販売するというモデルを確立し、規模を拡大しました。
1996年には株式の店頭公開を行い、アート業界では名実ともに大手企業となりました。
2000年には国内最大のアートイベント「ジャパンアートエキスポ」を開催。
このように、国内外のアーティストの才能を発掘し、日本全国に有する流通ネットワークを駆使して彼らの作品を広めて販売するというのがアールビバンの事業です。
あまり大きくない「版画」市場でありながら、売上は72億円近くに達しています。
2000年ごろは年間140億円以上の売上があったので事業規模は縮小していますが、近年は拡大基調にあるようです。
また、経常利益率は10%以上と収益性も悪くありません。
今回のエントリでは、ラッセンを見出した「アールビバン」とはどういう会社なのか掘り下げていきたいと思います。