漫画やおもちゃなどの買取・販売を行なっている「まんだらけ」について見ていきたいと思います。
(まんだらけ)
1982年に漫画家・古川益三氏が中野ブロードウェイで漫画専門の古本屋『まんだらけ』をオープンしました。
(前身となる貸本屋は水木しげるの元アシスタントである山口芳則氏らと創業)
相場が確立されていなかった漫画本に対して、希少価値も含めた価格設定を行い相場の基準を作りました。
また、マニアの間で存在が疑われていた幻の漫画本『UTOPIA 最後の世界大戦』(足塚不二雄作)を50万円で買い取り、100万円で販売しました。
手塚治虫の漫画本でも20〜25万が相場だったため、かなり高い値段をつけています。
ちなみに、足塚不二雄はドラえもんで有名な藤子不二雄の昔のペンネームです。
1987年に(株)まんだらけを設立。
中野ブロードウェイ内で店舗を増やして、アニメやゲームに関連するいわゆるオタク向け商品も扱うようになりました。
1994年に渋谷店をオープンしたのをきっかけに全国に店舗を増やしていきます。
1999年にはアメリカ・ロサンゼルスに出店、続いて海外に出店しましたが全店舗閉店しています。
2000年にマザーズに上場。
それでは売上の推移を見ていきましょう。
今四半期の売上高は26.4億円と少しずつ売上を伸ばしています。
前年同期からの売上増加率を計算してみましょう。
2016年3Qから3四半期連続で売上は減少していましたが、その後売上は増加。
今四半期は6.9%の増収となっています。
今四半期の営業利益は4.3億円と前年同期から53%も増加しています。
営業利益率は16.2%と驚くべき値となっています。
漫画やおもちゃの買取・販売を行なっているまんだらけですが、店舗は国内で11店舗とかなり少ないです。
関東以外では札幌、名古屋、大阪、福岡にしかありません。
まんだらけでは店舗販売の他にも、Webでの販売やオークションをおこなっています。
さらに、海外向けには2017年11月からeBayに出店しています。
(プレスリリース)
海外からの来店客も増加しており、スーツケースに入りきらないから購入を断念するといったこともあるそうです。
日本の漫画・アニメの海外人気は凄まじいです。
まんだらけの製品別の売上を見てみましょう。
本や同人誌の売上は徐々に減少していますが、おもちゃの売上が堅調に増加しています。
本よりも売上が高いその他の商品についてですが詳細な説明はされていません。
まんだらけではアニメや映画に使われていたセル画の販売を行なっているため、おそらくセル画などがその他に含まれていると思います。
セル画とはアニメを作るために必要な静止画のことで、何千枚ものセル画を組み合わせてアニメを作っていました。
(まんだらけ商品ページより)
ちなみに、このセル画の販売価格は5,000円です。
続いて、地域別の売上が2017年6期から公表されているので見てみましょう。
海外での売上は14億円とまだ日本での売上が大部分を占めています。
しかし、まんだらけでは2016年6期まで国内での売上が90%を超えていたので、2017年6期から海外での売上が大きく増加していることがわかります。
「SAHRA(サーラ)」は敷地面積8,000坪の巨大な物流センターとなっており、2015年9月に開設されました。
まんだらけで買取された商品は「SAHRA」に集められます。
「SAHRA」に送られてきた商品の出品・保管・発送はかなり効率化されています。
・出品
コンベアにのせられた商品は撮影から出品まで自動で行われます。
また、同時に重さやサイズも測っており、出品情報に記載するだけでなく事前に送料も計算しています。
・保管
出品した商品は空いている棚で管理しますが、全てパソコンで管理されているため、誰でも簡単にピックできるようになっています。
・発送
商品の発送ではピックした商品は自動で梱包することができ、箱詰め、宛名貼り付けなどまで自動化されています。
少ない店舗数に加えて、「SAHRA」によるWeb販売の効率化がまんだらけの高い営業利益率に繋がっているのかもしれません。
余談ですが、「SAHRA」には社員のための設備が充実しています。
(ホームページ)
美味しくて安い食堂や露天風呂、さらには宿泊施設もあるとか。
宿泊施設があるのか…と思いましたが、千葉からもかなり遠いところにあります。
通勤に時間がだいぶかかりそうなので、休みの期間にまとめてバイトしたい学生にとってはありがたいと思います。
最後にバランスシートを確認しておきましょう。
2018年6月末時点で総資産148億円のうち、商品が73億円と半分ほどを占めています。
有形固定資産は60億円、現預金は5億円ほどとなっています。
資産の源泉となる負債・純資産を見てみると、借入金が65億円と半分近くあります。
利益剰余金は50億円と順調に積み上がっており、資産のほとんどは利益と借入金からきていることになります。
2013年に株価は大きく上昇して、3倍ほどになっています。
時価総額は50億円なので、現預金と借入金を考慮すると企業価値は110億円。
2017年度のフリーキャッシュフローは1.2億円なので、企業価値は約92年分となっています。