ゴールドマン・サックスは米国の投資銀行。2015年末時点で世界30カ国にオフィスを構えているほか、従業員の48%は米国外で働いているほか、売上の44%が米国外で生み出されている。
業績推移を見ると、1995年度には50億ドル程度だった売上を300億ドルを超える規模にまで増大させている。2008年度の減少はサブプライムショックによるもの。
ゴールドマン・サックス・グループの事業は大きく「Investment Banking」「Institutional Client Services」「Investing & Lending」「Investment Management」の4つからなる。それぞれを一つずつ見てみよう。
投資銀行(Investment Banking)
投資銀行業務はさらに「Financial Advisory」「Underwriting」「Equity Underwriting」「Debt Underwriting」の4つの事業に分かれる。
「Financial Advisory」では文字どおり企業を対象に財務面のアドバイスを行い、その中には合併や買収、企業の売却やリストラ、スピンオフ、リスク管理などの戦略的なアドバイザリーサービスが含まれている。
「Underwriting」は企業の資金調達の手助けを行うものであり、主に機関投資家とのマッチングを手助けする。この中にはIPO(株式公開)の引き受け業務も含まれる。
「Equity Underwriting」は株式による資金調達の引き受け業務であり、「Debt Underwriting」は債券や貸付による資金調達の引き受け業務である。
機関投資家向けサービス(Institutional Client Services)
金融商品を買いに来る機関顧客を対象とするサービスであり、債券、株式、為替、コモディティなどの金融商品を扱っている。顧客の多くは個人投資家からの資金を預かって運用する機関投資家である。
機関顧客向けサービスによる収益源は4つある。
1. 流動性の高い市場(米国短期債券やS&P500に含まれる株式など)における取引
2. 流動性の低い市場(新興市場の通貨や中小企業の債券など)における取引
3. 顧客のリスク管理や投資目的などに応じてカスタマイズされた商品の取引
4. 顧客への有価証券の貸付やその他の仲介業
投資・貸付(Investing & Lending)
自ら投資や貸付業務を行う。
資産管理(Investment Management)
顧客から資産を預かった上で、投資活動を行う。収益は資産の管理報酬と投資パフォーマンスに応じた成功報酬から生まれる。
さて、4つの事業セグメントごとの収益をグラフにしてみよう。
収益ベースで見ると、機関投資家向けサービスが最も大きく151億ドルの売上。続いて投資銀行業務が70億ドル、資産管理が62億ドル、投資・貸付が54億ドルと続く。
次に、利益ベースで見てみよう。
利益ベースで見ると割合が変わり、最も大きな利益を生んでいるのは投資銀行業務(33億ドル)、続いて投資・貸付(30億ドル)、資産管理(13.6億ドル)、機関投資家向けサービス(12億ドル)となっている。これはなかなか興味深い。