皆さんはパチンコ聞くとどのような印象を受けるでしょうか。
いつも繁盛していて、新台入荷の日には朝から行列ができる、などのイメージがあるかもしれませんが、実は過去5年においてパチンコ業界の市場規模は縮小傾向にあります。
(ゲンダイエージェンシーHPよりどん兵衛作成)
2012年は26兆円弱だった市場規模ですが、2016年には21.6兆円にまで減少しています。
それでは参加人口はどうでしょうか。
(ゲンダイエージェンシーHPよりどん兵衛作成)
こちらもやはり減少しています。2012年には1110万人だった参加人口は940万人にまで減少しています。
これらのデータを見る限り業界そのものは衰退しているように思えます。
それでは業界の衰退はパチンコ関連企業が必ずしも衰退することを意味しているのでしょうか。
また、企業はどのように打開して行く必要があるのでしょうか。
今回はゲンダイエージェンシーを例に見ていきます。
ゲンダイエージェンシーは1995年に現代広告社として東京都八王子しで設立されました。
2004年にはJASDAQへ上場し、翌年2005年には売上高100億円突破を達成します。
その後2010年に売上高200億円を達成。
2017年2月には東南アジアでのカジノ関連事業を目的にシンガポールで子会社を設立しています。
前述した通りゲンダイエージェンシーはパチンコ向け広告を制作しています。
企業のHPからビジネスモデルを見てみます。
ビジネスモデルはいたってシンプルであり広告を制作するためのヒアリング・調査を行い、それらのデータを用いて企画・広告戦略の提案、そして広告を製作し実行した後にアフターケアがあるというものです。
実際のサービスには以下のようなものがあります。
広告及びに店外装飾や店内の装飾なども行なっていますね。
それでは全体の業績を見てみます
売上高は例年150億円から170億円強を推移しています。
営業利益率は7-9%です。
全体的に横ばいという印象ですね。
業界自体が衰退しているので業績が上がらないのは当然のように思えます。
この記事ではパチンコ専門の広告を製作しているゲンダイエージェンシーがどのように衰退するパチンコ業界を勝ち抜いて行けるのか、コスト構造やキャッシュフローの推移を確認し、タイトルにもあるカジノ事業への参戦についてみていきます。
まずはコスト構造から見ていきましょう。
売上原価が150億円弱を推移しており、売上高の7割ほどを占めています。
従業員給与手当が2番目に大きいですが、2011/3期と2017/3期を比べると5億円ほど減少しています。
続いて貸借対照表を見てみます。
現金及び預金が2011/3期には34億円であるのに対し2017/3期では43億円と増加しています。
全体を占める割合で見ても2017/3期には現金が全体の半分以上を占めています。
ビジネスの仕組み上、固定資産等も少なくなっており、流動資産が多くなっています。
続いて貸借対照表の右側、負債・純資産を確認します。
利益剰余金の存在感が強くなっています。
ゲンダイエージェンシーは会社予想の現在時点での配当利回りは4.51%と非常に高いです。
また、借入も少ないことや、自己資本比率が70%弱あることも特徴の一つです。
キャッシュフロー計算書についても確認してみます。
営業CFは2011年から2017年まで全てプラスになっています。
借入も少ないことから財務CFも例年マイナスであり、全体的に堅調といえます。
最後にフリーキャッシュフローの推移です。
フリーキャッシュフローについても営業CFと同じく2011年から2017年まで堅調です。
CFや財政状況、PLに関しても目立って悪いところはなく、業界自体が勢いを取り戻すor成長を求めて新しい分野への参入が業績を伸ばす上で必要だと思われます。
それでは最後にタイトルにもある新子会社によるカジノ関連事業参入について確認します。
ゲンダイエージェンシーは2017年1月20日にシンガポールで新しく子会社を設立したと発表しました。
事業内容としては東南アジア諸国におけるカジノのオペーレーションマシン販売・コンサルティングです。
更に詳しい情報が次の資料にあります。
カンボジアに支店を開設し事業を開始するとの見込みが書かれています。
ビジネスモデルに関しては、既存のカジノのオーナーと契約を行い、マシンのオペレーションやコンサルティングを行なって収益を得るというものです。
アジアにおけるカジノ業界は近年盛り上がりを見せています。
更に、日本でも2016年にいわゆる、カジノ法案が成立し今後の業界の動向には目が離せません。
いかがでしたでしょうか。
業界が衰退している場合に売上を伸ばすのは難しいです。
ゲンダイエージェンシーのように面白い新規事業に目をつけて投資を行い、事業を多角化していくことは衰退産業に属している企業には必須のように思えます。
今後の世界でのカジノ産業、及びに日本においても業界の動向に注目です!