最近スーパーやコンビニを利用すると、人が対応せずとも決済を行える「無人レジ」をよく見かけます。便利だと感じる反面、単純な接客業は消えていってしまうのか...とテクノロジーの進化に驚く日々です。
今回はそんな無人レジを事業の一つとして扱うサインポスト <3996> についてチェックしていきたいと思います。2017年11月21日に上場したばかりですが、「AIを活用したレジ」を製品化・普及させることが話題になっており非常に注目の高い会社です。
まずはサインポストの会社概要・主要事業について見ていきましょう。
2007年にIT部門でのコンサルティングサービスを行う会社として設立された後、銀行、カード業界といった金融分野・公共機関といった領域へのコンサル業務を拡大。
その後大阪・沖縄に支社を設立したあと、2014年に第二の事業である「ソリューション事業」をスタート。ソリューション事業においては最先端のICT事業を利用することで顧客の課題を解決する、ということを目的としています。
2017年3月にはコンサル・ソリューションに続く事業である「イノベーション事業」において、AIを活用した無人レジ『ワンダーレジ』の発売を開始。
そして2017年11月に東証マザーズに上場、といったかたちになります。
「コンサル、ソリューション」と聞くと何だかありきたりなビジネスモデルのようにも思えるのですが、サインポストの場合は「金融機関・公共」業界にターゲットを限定し、独自のナレッジならびに専門性の高いサービスを提供しているとのことです。
また、「コンサル」「ソリューション」「イノベーション」の3事業にはそれぞれ相関があり、それぞれ異なるリソースを活用しながら顧客の抱える課題を解決していくことを重視しています。
(2017年11月 成長可能性に関する説明資料より)
次に、サインポストの直近の業績、またそれぞれの事業のセグメント別の売上について確認していきます。
2014年2月期以降の売上・純利益です。
売上・純利益ともに右肩上がりの傾向にあることが分かります。
2018年1月に発表された2018年2月期の3Qの業績は次のようになっていました。
進捗率は71.7%と、可もなく不可もなくといった感じです。
同時期における事業セグメント別の業績をチェックしてみると、コンサルティング・ソリューション事業が圧倒的な割合を占めていることが分かりますね。3Qにおける売上高2,116百万円のうち、70%以上をコンサル事業で稼いでいるのが見て取れます。
イノベーション事業はやはり比較的新しい事業ということもあり売上への貢献度合いは小さいですが、JR東日本での実証実験、ITサービス大手のSCSK <9719> と協業するなどといった具体的な動きを見せてきています。
財政状況とキャッシュフロー
財政状態ならびにキャッシュフローについてもチェックしていきましょう。
まずは引き続き、2018年2月期第三四半期における資産の状況を確認します。
3Qにおける資産19.6億のうち、約14.5億円が現金および預金と、該当期においてはキャッシュが多めになっているということが分かりますね。
資産に対して、負債・純資産はどのようになっているでしょうか。
株主資本を構成する資本金・資本剰余金といった部分が上場にあたって大きく増加していることが分かります。また利益剰余金も順調に増えていることが見てとれます。
キャッシュフローは以下の通りです。
2018年2月期においては営業キャッシュフローが大幅に改善しています。
年によってかなりばらつきがある感じですね。フリーキャッシュフローでもこの影響が見られます。
サインポストの今後に関しては、当たり前ですが「コンサル・ソリューション」といった基幹事業を伸ばしつつ、「イノベーション」といった新規事業で収益拡大を狙っていくという流れになります。
2017年11月にリリースされた「成長可能性に関する説明資料」では、コンサル事業においては
①顧客・業態の拡大②サービスの拡大③営業地域の拡大
を軸にしながら規模を広げていくとの記載がありました。
「他業態への展開」と言っても別業種のコンサルを行っていくというわけではなく、あくまでもまずは金融業における領域拡大を狙っていくとのことです。
現在の主な顧客は銀行(地銀)、カード会社がメインですが、生保・フィンテックと金融業界はかなり幅広いため、どれだけのニーズを囲みこめるかが重要になると考えられます。
またコンサル需要は年々増加、中でもデジタル技術におけるコンサル市場は著しい成長をすると見込まれているため、サインポストの持つナレッジ・IT技術が活かせることは間違いなさそうです。
参考:国内コンサルティングサービス市場予測 (IDC Japan)
(図が引用できなかったので、コンサル市場に関しては上の記事をご覧ください)
そして注目されるのがイノベーション事業におけるAI搭載レジ『ワンダーレジ』の動向です。
はじめに書いたように現在もイオンやTSUTAYAのような店舗で無人レジを見かけることはありますが、サインポストのワンダーレジはバーコードを使わないことが大きな特徴の一つとして挙げられます。
映像を見ると、今話題のAmazon Goに近いようなかたちでしょうか。
無人レジに関しては、商品にICタグを付けることで効率化する形態のものが導入されるとの報道もありましたが、サインポストはそれとはまた別のセルフレジだと言うことが出来そうです。
人手不足と相まり無人レジが注目されていくことは間違いなさそうなのですが、既に東芝TECやパナソニックのような企業も参入してきている領域であるだけに、競合にどう打ち勝っていけるかが大事だと言えます。
使われている技術を活用し、レジ以外へのところへも需要開拓をしていくのは面白いかもしれません。
コンサルティング・ソリューション、そしてセルフレジと将来ニーズが広がるであろう分野で成長を見込むサインポストの今後に期待です。