11月13日、アプリ開発SaaSを提供するヤプリの新規上場が承認された。
ヤプリが提供するソリューションはプログラミングなしで高度なスマホアプリを開発できるというもので、「ノーコード」という言葉とともに注目を集めている。
売上高は右肩上がりの拡大を続けており、2019年には17.2億円にのぼった。2020年の実績は3Q累計で17億円。通期予想は23.7億円(前年比38%増)である。
経常損失は2019年に8億円に拡大したが、2020年は3Q累計で約4億円、通期予想は6.5億円となっている。
一般にあまり馴染みのない「ノーコード」という言葉だが、現代を生きるビジネスパーソンにとっては重要性を増している。それは、ノーコードが「非エンジニア」にもITの優位性を提供するからである。
ヤプリは2013年、ファストメディア(株)として設立された。
ヤフー傘下のYJキャピタルから3,000万円の資金を調達、アプリ運営プラットフォーム『Yappliシステム』をリリースした。すぐにヤフー社の『Yahoo! アプリエンジン』へYappliをOEM提供している。
創業者の庵原保文氏は出版社を経てヤフーに転職、メディア系サービスの企画職として勤務した。そこで金融系メディアを扱った経験を活かし、シティバンクのマーケティングマネジャーに転じる。
後に取締役CTOとなる佐野将史氏と趣味でアプリを開発していた頃、数名の友人から同じようなアプリ開発を依頼されたという。これがヤプリ創業の着想となった。
後になってみれば、アイデアは極めてシンプルだ。イチからスクラッチで開発するのではなく、ドラッグ&ドロップのような簡単なインターフェースでアプリを作れるようにする。
ネイティブアプリが一般的なものになるほど、提供する機能は似通ってくる。アプリは奇をてらうより、一般的なフォーマットに則った方が使いやすいことも多い。
一方で、汎用的なアプリ開発フレームワークを作る、さらにそれを「非開発者」にも使いやすいようにするハードルは極めて高い。
佐野氏はYahoo!ファイナンスのiOSアプリに携わり、ハイレベルなIT人材を輩出していることで知られる『未踏ユース』2007年度下期クリエイター。高度な開発力があって可能になった事業と言える。
当初のヤプリは個人向けに広く浅く届けるようなビジネスモデルを構想していたというが、それはうまくいかなかったようだ。