先週の決算ラッシュで、いわゆる「GAFAM」の2020年7〜9月期決算が出揃った。MicrosoftとAmazon、Appleについては既に各エントリをまとめた。
今回は、残るFacebookとGoogle(Alphabet)の二社について確認しよう。この2社さえ抑えれば、インターネット広告市場の大きな動きを理解できることになる。
まずはGoogleの親会社、Alphabetだ。Googleは多様な事業を展開しつつも「検索広告の一本足」という実情があったが、直近では変わりつつある。
売上高は前年比14%増の462億ドル、営業利益は22%増の112億ドルという結果だった。4〜6月期には新型コロナ影響に伴う広告需要の急減で減収減益だったが、その後は大きく回復した。
大半を占めるGoogleの検索広告(など)売上は、前年比6.5%増の263億ドル。極めて大きいが、前年比での成長率はかなり緩やかになった。
広告事業の成長を牽引しているのは、ご存知YouTubeである。足元での広告売上は50.4億ドルにのぼり、前年比で32%もの増収になった。検索広告に対してだいたい5分の1くらいの規模だ。
検索とYouTubeの広告売上比率が今後、どのように推移することになるかは注視したいところだ。足元のトレンドが続けば、来年には比率が4対1になる。
用途と競争環境を考えると、動画が検索を上回るということは考えづらい。Google検索は多くの地域で独占的なシェアを握る。動画プラットフォームは多様で、広い目線で見れば競合は少なくない。
それでも、足元におけるYouTubeの成長は目覚ましい。YouTubeは単なるエンタメ動画の枠を大きく超えて、情報獲得や学習のためのプラットフォームにもなった。
興味深い点として、瞑想のナビゲーション動画が3月中盤から40%もの閲覧数に伸びた。自家製のフェイスマスクのチュートリアル動画は10億回を超えて視聴された。ハウツー動画を探すときに良いプラットフォームは多くの場合、YouTubeだ。
CEOのサンダー・ピチャイは、検索サービスが「ある瞬間の意図」を捉えるのに対し、YouTubeは「需要の創出」に貢献するものだと説明した。視聴動向からユーザーの好みを学習するという点でも、両者は補完的な役割も果たす。
YouTubeにおいては、広告以外の定期課金収入も大きな成長ドライバーだ。